大阪ニュース

不夜城ミナミの人間模様 関テレ若手記者が取材

2020年2月21日

 大阪・ミナミの歓楽街・宗右衛門町にひときわ派手な看板を掲げて軒を連ねる“無料案内所”。そこで働くさまざまな“訳あり”男女と、彼らをサポートする店経営者を1年以上追い続けた関西テレビのザ・ドキュメント「ミナミを生きる〜無料案内所の駆け込み寺〜」が、23日深夜1時59分(24日未明)から1時間枠で放送される。取材したのは、入社から間もなく丸4年になる報道局報道センターの宇都宮雄太郎記者(27)。若い彼の目に、映ったミナミの人間模様とは?

派手なポスターが並ぶ無料案内所に、アテもなく飛び込んできた若い女性から事情を聞く経営者の油谷さん(右)=大阪市中央区
関西テレビの宇都宮雄太郎記者

 無料案内所は、府警に営業届を出し、キャバクラやホストクラブにいちげん客を案内し手数料をもらう。性風俗店への紹介は禁止でミナミには30軒あり、そのうちの5軒の経営に携わる地元出身の油谷聖一※さん(45)が番組の主人公だ。こうした施設は、いかがわしい雰囲気で地元民は敬遠しがちだが、東京でカリスマ店長として成功した油谷さんは6年前から引き受けた。

■生きざまに興味

 神戸出身の宇都宮記者は、入社後に警察担当として初めて宗右衛門町を訪れた。違法な客引きも横行する不夜城の独特な雰囲気に驚きながら街を取材するうち、人を介して油谷さんと知り合った。

 それまで足を踏み入れたこともなかった、無料案内所で働く人々のインタビュー取材。油谷さんがセットしてくれても、対象者が急に行方をくらましたり、うそをつかれたりすることもしばしば。当初は不信感を抱きながらも、それでも職と住まいを求めて店を訪れるさまざまな男女に、懲りずに手を差し伸べ続ける油谷さんの生きざまに興味を抱いた。

 油谷さんは時給千円で雇い、月額5千円で部屋を提供。「家ない、金ない、携帯ない、身分証ない、何もない人ばかり。“若者を夜の環境に置くな”と言われても“それなら、彼らはどこへいくの?”と逆に問いたい。行くとこある人はウチでなくていい。でも自分のところに来るコは悪い道には進ませたくない」と、何度もだまされたり、逃げられたりしながら活動を続ける。

 宇都宮記者は次第に油谷さんの人柄に引かれていく。「ホンマにこんなエエ人おるんかな?と。飛び込んでくる若者は一獲千金を狙うやつや外国人、さまざまな前歴があったりと千差万別。なかなか心を開いてもらえず。一時人間不審になりかけました」と話す。取材は本来の持ち場での仕事を終え、午後7時から深夜まで。独りでハンディーカメラを手に黙々と映像を撮りためた。

■割り切れなさも

 油谷さんは案内所経営に続き、廃業した飲食店などのスペースを使って誰もが利用できる「みんな食堂」を事業化しようとしていることを、番組で紹介して結びに。

 宇都宮記者は「満足行く取材だったか?と言えば、いろいろ考えさせられる事が多い。福祉や介護の範囲に入らない“不安定居住者”を誰が助けるべきなのか?という深刻な問題に、結論を見いだせた訳ではない」と割り切れない思いを残す。

 民放各局は、時間と人手がかかる割に視聴率的にはほとんど期待できない社会派ドキュメンタリー番組作りを敬遠する傾向にある。その中で宇都宮記者は「臨場感のあるテレビニュース報道は大切だし魅力。じっくりと自分しか作れない映像で、視聴者に善悪の判断を問い掛けるようなドキュメンタリーをこれからも手掛けたい」と夢を描いている。

 ※は郎の旧字体


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