大阪ニュース

「早く終息」願い切実 新型コロナ緊急事態宣言

2020年4月8日

 新型コロナウイルス感染拡大を受け、政府が緊急事態宣言を発令した7日、対象地域の大阪府の住民は暮らしへの影響を不安視する一方、宣言発令で早期の終息に向かってほしいと期待する声も。府は不要不急の外出自粛を強く要請し、人が集まる施設の使用制限も示した。目指す感染拡大防止につながるような一人一人の行動が問われる。

参道に設置された閉堂を告知する看板=7日、大阪市天王寺区の四天王寺
ルクア大阪入り口には全館臨時休館を知らせる案内が設置された=7日、大阪市北区

 「市民を守るために宣言を出してくれるのはいいと思う」と、大阪市旭区の自営業、南勝也さん(76)は国の方針を評価した。「皆が守ることを忘れていると思う。誰もがしっかりとルールを守ることが大切だ」と訴える。

 支援策には「本当に困っている人の所に支援が届いてほしい」と願い、「今のところ不便は感じていないが、これがいつまで続くのか。素人考えだが、薬ができるまでどうしようもないように思う」と、先を見通せない状況に不安も隠せない。

 危機的状況にあるのが商店街。同市北区の天神橋筋商店連合会の盛岡淑郎会長(76)は「もう、どうしようもない」と話す。インバウンド(訪日外国人客)がぱたりと途絶え、人通りは「普段の半分の以下」。春恒例のイベントも中止になるなど、商店街はすでに“緊急事態”という。政府の経済対策について「できるだけ早くしていただかないと、つぶれてしまってからでは遅い」と危機感を募らせた。

■小売業■
大型店が臨時休館

 食料品を扱うスーパーマーケットやコンビニなどは通常営業を予定。府内で121店舗を展開するスーパーマーケットチェーン「ライフコーポレーション」は、宣言の内容で営業時間を検討する。商品入荷は通常通り行われており、同社広報は「いつも通りのお買い物をしてほしい」と呼び掛けている。

 JR西日本のグループ会社の「JR西日本SC開発」(同市北区)が運営するルクア大阪は、8日から約1カ月間、全館臨時休館する。

 天王寺ミオ(同市天王寺区)も、8日からスーパーなどの一部店舗を除いて臨時休館する。両施設とも5月6日までをめどに休館する。

■施設■
全て中止「気持ちなえそう」

 これまで図書館や博物館など公共施設、大型テーマパークの休館が相次いでいたが、宣言で娯楽施設など規制要請の範囲が拡大する。子ども向け博物館「キッズプラザ大阪」(大阪市北区)は、臨時休館の延長について宣言の実施期間と同じく「当面5月6日まで」とした。

 本来であれば、子どもたちでにぎわう春休みシーズンに加え、5月の大型連休の企画は全て中止。現状では5月以降の再開も不透明だが、担当者は「気持ちがなえそうなところを何とか奮い立たせ、いつ再開となっても、できるように準備する」と話す。

 春季名宝展を行っている和宗総本山四天王寺(同市天王寺区、加藤公俊管長)の境内にある四天王寺宝物館は、9日まで午前10時〜午後3時に時間を短縮して開館するが、10日以降は約30ある全お堂の閉堂や各施設、本坊庭園「極楽浄土の庭」などの閉鎖を決定。職員が境内の主要な門に告知看板を設置した。

 閉堂中は先祖供養や納骨、永代供養申し込みなどができず、依頼は郵送でのみ対応するという。参詣課の山岡武明課長は「年配の参詣者も多いことから、少しでも自粛に協力できたらと思い決定した。閉堂中も普段と同様、僧侶が全てのお堂で日々のお勤めをさせていただきます」話した。

 住吉大社(同市住吉区、高井道弘宮司)は8日から閉門し、すべての業務を停止する。参拝や祈願のほか、御朱印やお守り、おみくじなどの授与もできなくなる。

 これまで営業を続けていた映画館では、テアトルシネマグループのテアトル梅田、シネ・リーブル梅田(ともに同市北区)が休館。シアターセブンと第七藝術劇場(同市淀川区)、シネ・ヌーヴォ(同市西区)などのミニシアターも軒並み当面の休館を決めた。

 イベントや公演の中止も相次いでいるが、上方落語協会(笑福亭仁智会長)は、5月10日まで主催公演の中止と天満天神繁昌亭の休館を決めた。

■公共交通機関■
鉄道やバス通常ダイヤ 高速道規制なく

 JRや関西の私鉄各社は基本的に通常運行する。各社とも駅構内や車両のつり革、手すりの消毒、運行中の列車内の空気を入れ替える換気装置を作動させるなど、感染拡大防止に取り組んでいる。

 JR西日本は、山陽新幹線や在来線特急の一部臨時列車を、利用状況を踏まえて運休する計画。5月8日のデビューを予定していた長距離列車「WEST EXPRESS銀河」は、当面の間運行開始を見合わせる。

 高速道路は閉鎖されない。規制は予定していないが、NEXCO西日本(同市北区)は今後、警察からの要請などがあれば対応する。サービスエリアやパーキングエリアの従業員は、こまめな手洗いやうがい、マスクの着用を徹底。営業体制を確保するために、一部の店舗で営業時間を短縮する対応を講じている。

 大阪シティバスは、通常ダイヤで運行する。保有する車両全576台では、それぞれ1日1回、車内の消毒や換気も徹底。同社広報は「乗車率は肌感覚で2割5分ぐらいは減っているのではないか」と話した。

 府内の約8割に当たる167社計1万2500台が加盟する大阪タクシー協会では、利用客の了解を得た上で実車、空車ともに常時窓を開放するよう徹底。担当者は「府からも対策を徹底するよう要請が来ている。指導に従いながら、事業者には実行してもらいたい」と話した。

■医療・福祉■
入所者面会全面禁止も

 有田医院(同市浪速区)で内科・小児科・放射線科の診療を行い、同区医師会の副会長を務める有田繁広さん(63)は「緊急事態宣言自体はいいことで、むしろ遅かったぐらい。医療現場ではPCR検査の体制に問題がある。大阪の検査で濃厚接触者が多く、不明者が東京に比べて少ないのは、検査数が少なく、クラスターからの濃厚接触者をたどっているからだと思う。発熱外来を増やし、どこでできるのかを明らかにしないといけない」と警鐘を鳴らす。

 高齢者施設では、感染拡大が命に関わることもあり、念入りに対策を講じている。特別養護老人ホーム「リベルタヴィータ」(同市鶴見区)では、「要請」にとどめていた面会禁止の判断を、3月下旬になって「全面禁止」に改め、警戒を強めた。

 通院などを除いて外出は禁止し、超音波式加湿器に殺菌のための薬剤を用いるなど徹底。花見の時期だけに、担当者は「毎年、造幣局や施設近くの公園の桜を楽しみにしているが残念。こればっかりは仕方ない」と声を落とした。

■教育関係■
いきいき教室認める方針 今後の展開は流動的

 府内の公立学校は、5月6日までの臨時休校を決定。大阪市立の小中学校と幼稚園も休校・休園中だが、入学式や始業式の延期と週2回程度の登校日も取りやめた。

 放課後の空き教室を活用して児童を預かる同市の「いきいき教室」は、これまでの臨時休校期間中と同様、保護者にやむを得ない事情がある場合は、居場所の確保のため校内での預かりを認める方針。ただ、緊急事態宣言で児童の受け入れを中止することも考えられ、市教委の判断にも左右される。


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