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大阪在住の元ドイツ軍人 平和願い慰霊の旅

2020年7月31日

 元ドイツ軍の軍人で戦車司令官、パラシュート部隊員だったギャード・クラマーさん(52)が、真田山陸軍墓地(大阪市天王寺区)を皮切りに戦没者を慰霊する戦地巡礼の旅を続けている。大阪からまずは徒歩で広島を目指し、そして長崎入り。そこから再び徒歩で鹿児島、沖縄を目指す。クラマーさんは「新型コロナウイルスに気を付けながら日々歩いて、いろんな人と話したい」と一歩を踏みしめた。

真田山陸軍墓地にあるドイツ兵の墓標に手作りのリーフを手向け、戦没者慰霊の旅をスタートさせたクラマーさん=大阪市天王寺区

■過去の戦地巡り献花

 クラマーさんが世界の過去の戦争地を回り、戦没者鎮魂のための献花を行う旅を始めたのは2015年から。「国のために戦い、亡くなられた人々を忘れ去ることなく心に刻む」ことが目的で、平和のメッセージを世界に広めるために、サイドカー付きのビンテージバイクを駆ってデンマーク、ベルギーなどを巡った。

 そこから毎年、欧州をビンテージバイクで巡るツアーを敢行。オランダ、イタリア、オーストリア、スウェーデンなど各国の兵士の墓地を訪れた。

 そしてツアー5回目となる昨年は、ドイツを起点にオランダ、ベルギー、アイルランド、スコットランド、ポーランドなど約40カ所の歴史的に重要な場所を訪問し、手作りの花輪を献花。5週間で約6千キロの旅となった。

■徒歩で目指す沖縄

 クラマーさんは、今年も欧州を巡るツアーを予定していたが、コロナウイルスの影響で断念。その代わりとして、徒歩を中心とした日本の戦没者慰霊の旅を企画した。

 まずは、8月6日の広島原爆忌に間に合うように徒歩で広島を目指している。その後、同9日に長崎に入り、そこから再び徒歩で鹿児島、最終目的地の沖縄に入るつもりだ。「8月末まで」には旅を終える予定だが、あくまでも予定。九州では豪雨被害に遭った地域で「ボランティア活動ができれば」。

 道中、基本はテントでキャンプをしながらの旅。30キロの荷物を背負って「1日平均20キロ」が目標。「過去に1週間に77キロ歩いたことがある」と言うが、未知の距離に「楽しくないけれど頑張る。しんどいことが慰霊につながる」と笑顔を見せる。

■もう一つの目的

 この旅のもう一つの目的は、戦没者だけではなく、過去や現代の戦争によって心的外傷後ストレス障害(PTSD)を患っている軍人のほか、警察官や消防士など国のために奉仕する仕事によってPTSDを患った人たちへの支援活動を広める旅でもあること。

 クラマーさんは、和歌山の農村地にPTSD患者を支援するセンターの設立を目指して活動中で、「一般の人はその人たちのことは気にしていないと思う。一日でも早く、これまで通りの生活に戻れるように支援できれば」と意気込む。

 1991年に来日。現在は大阪在住で、ウェブファッションマガジンの編集長としても活躍している。戦争で亡くなられた人を忘れないため、二度と戦争が起こらない世界をつくるため、国に奉仕してPTSDを患ってしまった人たちを助けたいというのが、クラマーさんの願いだ。

 ◇旅の様子は随時フェイスブック(https://m.facebook.com/fschjgaufkrad/)で報告。


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