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大阪都構想 再びの住民投票 人員問題

2020年10月30日

 「大阪都構想」の課題の一つが、組織再編に伴う職員数だ。四つの特別区に分割することによって約300人増加する。さらに大阪市人事局は「増加した上でも業務執行に支障を来す」との意見を寄せた。合理化とは逆に市民サービス維持のためには、コストアップせざるを得ない側面が見えている。

特別区以降に4分割され、事務職員の不足を指摘する専門家もいる大阪市教育委員会

■分散化で懸念

 協定書によると、市を4特別区に分割した際の職員数を試算している。指標としては各特別区の必要とされる職員数を、近隣の中核市6市をベースに、人口や大阪市の権限、特性などを加味して算定。その結果、1万1620人と推計した。

 16年の職員数は1万1210人で、体制整備に伴う人員増は330人としている。増員による人件費は反対派の主張では約20億円増加する。しかし、府知事で大阪維新の会の吉村洋文代表代行は「二重行政の解消などでスリム化できる。同時に住民サービスの維持のための必要な人員」と主張する。

 一方で市人事局は18年12月、意見書を提出。4特別区移行で人員を増加した上でも、分散化によるスケールデメリットが生じる懸念を示した。さらに「業務執行に必要な職員数が不足し、サービスの低下を来す恐れが考えられる」と指摘した。

 しかし、吉村氏は特別区職員の増加数については見直す意思はなく、「現在の試算でも十分対応できる」と主張。副首都推進室も「各部署での調整すれば可能」とさらなる人員増については否定的だ。

■貧弱なマンパワー

 都構想に際して「各特別区の教育委員会は破綻する」と、大阪大の小野田正利名誉教授(教育制度学)は警鐘を鳴らす。

 一番の懸念材料は、教員採用の業務だ。これまでは市が統一して行っていたが、各特別区ごとに実施することになる。小野田名誉教授の分析では、現在の採用に携わっていると予想される人員は12人。「各特別区に分配されるとなると、わずか3人。試験など非常に手間と神経を使う採用人事には、各区の貧弱なマンパワーで対応できない」と断言する。

 さらに問題視しているのは、校舎の修繕や保全を行う技術職員の不足だ。一般行政職ではなく建築士などの有資格者で特に機械を担当する人員は2人しかいない。4分割すれば施設整備職員のいない区ができる。小野田名誉教授は「特別区になると、各区ごとの横断での対応が難しくなる。教育環境が区ごとに差がでる」と予測する。

 4特別区の教育委員会の職員の合計数は720人だが、900人まで増やさなければ対応しきれないと考える。「教育のことについてだけでも、これだけの問題がある。どのようにシミュレーションしたのか。何も見ずに突っ走っているとしか思えない。都構想は破滅戦略だ」と厳しく指摘する。


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