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自立した職人育てる 「靴学院」今春浪速区に移転

2021年2月12日

 1973年に開校した日本で最初の靴職人養成学校「エスペランサ靴学院」が4月、東京・浅草から大阪市浪速区の大阪地域職業訓練センター「A'ワーク創造館」内に移転開校する。製靴技能コースとともに、新たに商品開発や経営などを学ぶビジネスコースを設置。合成皮革の登場で手縫い靴市場が厳しい状況に置かれる中、「靴文化の将来」を見据え、自立した靴職人の育成に取り組む。

「足元から世界を輝かす人材を育成する」と意気込む、大山学院長(右)と梅山さん=大阪市浪速区

 エスペランサは、これまで千人を超える卒業生を輩出。しかし、学生数の減少と経営悪化で閉校することに。同学院19期生で靴メーカー「ロカシュー」(同市阿倍野区)の大山一哲社長(48)が、学院長として大阪で引き継ぐことになった。新入生は47期生となる。

いかに食べるか

 靴は、足を守る機能性とともに個性を示すファッションアイテムでもある。靴作りは人気がある一方で、技能と知識を習得しても靴職人で生計をたてることができるのは一握りだ。

 「1年間学べば、誰でも100%靴を作れるようになる。しかし、靴で食べていけるとは限らない」と大山学院長。講師陣は、実際に靴業界の第一線で活躍している人が並び、技能とともに、ブランディングや販路開拓、資金繰りまで「いかに食べていくか」を伝授する。

 期間は4月から1年間。月〜金曜日の日中に開講し、技能は135日、ビジネスは80日のカリキュラムを組む。

 靴型や型紙に始まり、パンプス、内羽根、外羽根、ブーツ、サンダルなど一通りの製靴技術を学び、年間10〜15足を制作。また、メーカーから寄付された革を自由に使うことができ、大山学院長は「作れば作るほど上手になる。学びたい時が学ぶ時」と背中を押す。

革のまちの復権

 学びやとなる「A'ワーク創造館」では、社会人のマナーや事務スキル、ホームページ制作など一般向けの各種講座も開講。同館の梅山晃佑さん(39)は「靴職人として、自分の軸を持ってどう働いていくのか、どう生きていくのかを1年かけて考えることになる。他の講座に触れて、新しいものを取り入れることもできる」と、出会いの相乗効果を期待する。

 同市浪速区と西成区は、かつて革が地場産業として盛んだった地域。伝統校の再出発に「革のまちの復権」も期待されるが、大山学院長は足元を冷静に見つめる。

 「足のくせに合わせ、靴と会話しながら作ることが手縫いの醍醐(だいご)味。足元から世界を輝かせる人材を育成したい。そうすれば、おのずと業界に光が当たる」

 ◇入学に関する問い合わせは電話06(6562)0410、A'ワーク創造館。


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