大阪ニュース

高齢者施設のクラスター防げ  検査と入院 迅速に

2021年3月3日

 政府は大阪を含む6府県で、新型コロナウイルスの緊急事態宣言を解除した。新規感染者数、重症病床使用率ともに年初のピーク時から大きく減少したが、変異ウイルスの感染は増えており、リバウンドが起きれば一気に病床が逼迫(ひっぱく)する危険性がある。府内で最大のクラスター(感染者集団)が発生するなどした高齢者施設への対策強化は必須。事態を経験した高齢者施設の代表者は「訪問介護も含む介護職員への迅速なPCR検査、感染した高齢者の迅速な入院」が、クラスター化の防止に不可欠だと訴える。

マスク、手袋、ガウンはもちろん、目を守るためのフェースシールドが重要と強調する介護従事者の防護具の研修=大阪市内

 「ついに出たか」−。大阪市内で複数の高齢者施設を運営するグループの代表者に、施設利用者が新型コロナに感染したという連絡が入ったのは昨年末。昼の検温で80代の女性に37度台の発熱があり、抗原検査で陽性が判明。血中酸素飽和度の低下から危険と判断され、その日の夕方に入院できた。

 翌日、女性が利用したデイサービスを人数制限し、3日目には自主判断で営業を中止。発症日2日前からの本人の行動を確認し、濃厚接触者の4人を完全個室対応とした。しかし、デイサービス利用者で、女性の濃厚接触者の感染が判明し入院した。

■相次ぐ感染者

 保健所は、感染した2人と同じ曜日のデイサービス利用者、職員全員のPCR検査を指示した。その間、2人目の感染者と接触したケアマネジャーも感染し入院。同じ事務所のケアマネジャーの自宅待機を段階的に実施した。

 結局、保健所の検査結果は利用者5人、職員1人が陽性でクラスターと認定された。訪問系サービスは時間短縮、入浴介助と食堂の利用をやめ、食器も全て使い捨ての紙皿に変更した。クラスター認定されると、抗原検査の陽性だけで入院要請できるが、要請から5日後の入院や施設療養となる例もあった。

 1週間感染者が出なかったタイミングで、フェースシールド、マスク、ガウン、手袋着用を徹底しながら入浴介助を再開したが、職員に再び感染者。デイサービスが再度営業中止になるなど混乱は続いた。

 最終的に感染者は26人、利用者2人が亡くなった。職員は全員回復したが、自身が高齢者だったり、兼業している別の仕事先からの要請があったりで、4人が退所するなどクラスター化した施設の傷跡は深い。

■甘く見ていた

 制限が終了したのは33日目。通常業務に段階的に移行し、警戒期間が終了したのは44日目だった。

 グループの代表者は「コロナを甘く見ていた。マスク、ガウン、手袋と同時にフェースシールドで目を守ることが大切。入浴介助時にフェースシールドが徹底されていなかった」と振り返り、今はどのような場面でも着用を徹底している。

 緊急事態宣言は解除されたが、「落ち着きつつあっても専用病床の増床は進めてほしい。入院できない感染者を施設で対応するのは困難で、クラスター化の可能性がある」と懸念する。


サイト内検索