大阪ニュース

客と店 両方喜ぶ新古品 「半額倉庫」半年で3店舗

2021年4月16日

 「全品レジにて半額」−。刺激的なキャッチフレーズとともに昨年9月に兵庫県播磨町に誕生し、半年間で島根県出雲市、兵庫県姫路市に相次いで出店した「半額倉庫」が、激安小売業界の注目を集めている。事業を展開する「ISOYU」(大阪市都島区)の磯遊晋介社長(36)は「販売店さまとお客さま、両方が喜ぶビジネス」と語る。

「新古品市場はこれから伸びていく」と話す磯遊社長(ISOYU提供)

 同店が扱うのは、小売店の余剰在庫やネット通販の返品、店頭展示を終えた商品など。状態は新品だが、箱が汚れたり伝票を?がした跡が残るなどして、市場に出せなくなった商品で「新古品」と呼ばれる。

■ほぼ一点物

 店舗は灰色の倉庫そのまま。有名メーカーの家電やゲーム機、日用品がパッケージされた状態のまま台車に積まれ、さながら卸売市場の様相だ。週末には開店前から掘り出し物を探そうと、訪れた家族連れらの行列ができる。

 磯遊社長が新古品ビジネスを知ったのは約3年前、個人でウェブデザインの仕事をしていた頃だ。発注元の小売店などから「在庫がはけない。ネットで販売してくれないか」と相談を受け、この世界に飛び込んだ。

 何か特徴を持たせようと考えたのが「半額」だった。「全部半額なら『行けば何かお得な物がある』という感覚になりませんか」。ほぼ一点物という新古品の特性も「毎日商品が入れ替わります」と言い換え、来店者は宝探しをしているような感覚になる。

■返品も可能

 当然、商品の仕入れ値は定価の50%以内。有名メーカーの家電やゲーム機は売れてもほとんど利益はないが、“客寄せパンダ”として割り切っている。「うちは“とりあえず客”がメイン。潮干狩り感覚で来店して、『要らんかもしれんけど安いから買っとこか』の売り上げの方が大きい」と磯遊社長は明かす。

 ただ、ごまかしはしない。半額前の表示価格は、価格比較サイトの最安値。店内には検品コーナーがあり、購入した商品が正しく稼働するか、客自身が確認できる上、1週間以内なら返品も可能だ。「商品の状態をお客が直接確認できるのも実店舗の利点」と話す。

 コストカットも徹底し、広報は会員制交流サイト(SNS)のみ。陳列棚や冷暖房がないことも、むしろ雰囲気の演出に一役買っているという。

■ブルーオーシャン

 2018年にISOYU社を設立した当初、主眼は新古品の卸業とビジネスコンサルティングで、半額倉庫は「本業を知ってもらうための宣伝手段だった」という。

 昨年、1号店となる播磨店が開店すると、メディアにも取り上げられ、連日の行列。新型コロナ禍で買い控えが起こる中、同店は年商3億円を見込む。姫路市と故郷の出雲市にフランチャイズチェーン(FC)店も誕生。FC権を独占したいというオファーも受けており、今後も店舗を増やす方針だ。

 磯遊社長は「この業界はまだ競合の少ない“ブルーオーシャン”。少なくともこの2、3年は伸び続ける」と笑顔で語った。


サイト内検索