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奮闘続く 大阪シティ信金「コンシェルジュ事業」

2021年5月17日

 大阪シティ信用金庫(本店・大阪市中央区、高橋知史理事長)が取り組んでいる「コンシェルジュ事業」が、2020年10月の開始から半年を経過した。今年4月末までに1万件以上の案件を本部で集約。約3割の情報から融資を行うなど、何げない「街の声」を実績と課題解決につなげている。地域密着の金融機関ならではの奮闘は続く。

大阪シティ信用金庫が行っているコンシェルジュ事業。気さくに声を掛ける=大阪市西成区の萩之茶屋支店

 同金庫は1927年に創立された大阪市昭和信用組合が母体。複数の信組と合わさり、49年に大阪市信用金庫に改称された。2013年に大阪東信用金庫、大福信用金庫と合併して現在の名称に。20年現在、府内全域に87店舗を展開している。

■一歩懐に入る

 従来、地域と密接な金融機関を目指して活動しているが、「コンシェルジュ事業」は、来店客とのコミュニケーションを高めることを狙いに進められた。店舗内に専用カウンターを設置して職員を配置し、案内や商品説明などを行っている。福島支店(同市福島区)を皮切りに、現在では46店舗で展開している。

 萩之茶屋支店(同市西成区)で担当している北山育恵さん(43)は、来店した人にきさくに声を掛けていく。一般の人や小規模事業者など来店理由は多種多様なだけに、投資信託の相談など事情によっては数時間に及ぶことある。これまでに約500人と対応してきた。

 「最初は手探りだった」と振り返る北山さん。多様なニーズに応えるため、預け入れだけでなく、融資など多くの分野の商品知識の必要性も感じたという。また、通常の窓口業務よりも一歩、懐に入る内容もあった。「内縁の奥さまがおられる方から、相続の相談も受けた」という。

 会話の内容は端末からすぐに支店、本部へと送られる。専門的な事案については担当部署が対応。成約につながらない場合もあるが、浦野友宏支店長は「それぞれの努力など、プロセスが見える化できた」と手応えを感じている。

■蓄積から展開へ

 相談内容は本店の総合企画部が集約し、分析する。1日平均で約70〜80件、逐次、経営陣に報告される。特徴的な案件は各支店へとフィードバックし、情報共有も図る。同部IT戦略室の浦田和佳室長は「粗品や案内はがきのレイアウトなど細かい指摘もあるが、非常に役立つ情報が多い」と話す。

 メガバンクと異なり、地域の情報が業績を左右する信用金庫。支店ごとの特徴など従来、大まかにつかんでいた情報も明確化しつつある。「各顧客の背景などが蓄積されていけば、事情やタイミングなどに応じ、適切な提案が可能になってくる」と見通しを示す。

 また、リアルタイムで現場の動きが分かることで、内部での折衝時間が短縮。「お客さまに速やかな返答ができる」と、サービス向上にもつながっているという。


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