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大経大・高井逸史教授ら出版 支援実例など紹介

2021年6月15日

 大阪市東淀川区の大阪経済大人間科学部の高井逸史教授らが、「ひきこもり」の支援実例や課題、当事者の声をまとめた「ひきこもっていても元気に生きる」(新日本出版社)を出版した。80代の親と50代の子が孤立する「8050問題」が顕在化し、ひきこもりの高齢化と長期化が深刻さを増す中、著書で性急に就労・就活を求めず、当事者の自助に注力。高井教授は「彼らは生きるためにひきこもっている。ひきこもりも選択の一つと認めてほしい」と訴える。

「元気にひきこもれていたら、外に出るきっかけはできてくる」と話す高井教授=大阪市東淀川区の大阪経済大

 高井教授のほか、滋賀大名誉教授の藤本文朗氏、元大阪健康福祉短大教授の森下博氏、NPO法人「社会的」ひきこもり・若者支援近畿交流会代表理事の石井守氏の4人による共著。

 教育や福祉の立場から、ひきこもりの当事者とその家族に寄り添い、社会復帰の道筋を模索してきた。

 高井教授の専門はリハビリテーションながら、2012年に堺市内でシニア向けのウオークイベントのスタッフとして、ひきこもり状態の若者に参加してもらったことをきっかけに、自助グループに関わることになった。

 「当初は外に連れ出して行政の支援につなげ、社会復帰させようと考えていた」と高井教授。しかし、当事者らは“支援”に背を向けた。「自分は大きな誤解をしていた。失敗だった」と振り返る。

 19年5月に、当事者による自助グループの立ち上げに参加。居場所づくりやイベント企画をサポートしながら、緩やかに関係を構築していった。

 全国では高齢の親の遺体を放置したとして、40〜50代の子どもが逮捕される事件が相次ぎ、2年前には児童を狙った川崎市の通り魔殺傷事件、父親がひきこもりの息子を殺害する事件も起きた。

 事件が起きるたび、ひきこもりの負の側面がクローズアップされる。しかし、それがまた当事者とその家族を、社会から孤立させるのだと高井教授は指摘する。

 「彼らは地域の視線が怖いし、社会に対して負い目があるからこそ、外に出られない。多様性を意味するダイバーシティを叫ぶなら、ひきこもりも認めてほしい。社会が寛容になれば子も親も変わる。元気に自分らしくひきこもれば、じきに飽きて、それが外に出るきっかけになりますよ」


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