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高齢者取り残すな まちぐるみで接種サポート

2021年6月16日

 新型コロナウイルスのワクチン接種について大阪市生野区で、個別接種や集団接種に漏れた人を、近隣で優先的に接種する「ワクチン受けにいくのプロジェクト」が進んでいる。国や自治体が接種加速に力を入れる一方で、予約が取れなかったり、遠出しづらい高齢者が取り残されるとの懸念の声が浮上。不安の払拭(ふっしょく)に「まちぐるみ」で応えている。

チームで高齢者の方へ移動して接種する看護師ら=14日、大阪市生野区

 プロジェクトは、生野の魅力発信や課題解決を図る一般社団法人「いくのもり」と、地域住民が連携して実施。区内12の福祉会館などが接種会場となる。

 5月初旬から「打ち手不足を何とかしたい」と考えていた同法人のメンバーで、医師の中村一仁さんが保健所と相談の上、予防接種法の巡回診療に沿った仕組みを考案。代表理事の木村和弘さんが、人員の確保や地域とのコーディネートに奔走した。

 「足が不自由」「スマートフォンが使えない」といった高齢者の声に触れていた、林寺まちづくり協議会の梶田正夫理事長の「何とかしたい」という思いに、同法人が受け皿づくりに応じた。

 プロジェクトは「地域が望んでいる」を前提に、予約・管理は地域で行い、個別接種、集団接種に漏れた人を優先接種する方針で始動。現在、医師7人と看護師4人、ワクチン予約や情報発信のサポーターとして110人を超えるボランティアが参加している。

 14〜30日の第1回接種は12会場で実施。第2回接種も含めて7月21日までに、約千人の接種を完了する予定だ。

 初実施となった14日の林寺センター(林寺2丁目)では42人が接種。地域住民が入館時の検温、消毒などを担い、接種前の検温や問診、接種、接種券の事務処理や2回目の日時の連絡などを医師、看護師を含む5人のチームで担当した。

 会場では一定の間隔で椅子に座った受診者を、チーム側が移動しながら接種する巡回方式を採用。事前説明会で予診表を確認し、袖まくりには洗濯ばさみを利用するなど工夫を重ね、1人当たりの所要時間は1分程度で済み順調に進んだ。

 一昨年に胃がんの手術を受けたという女性(80)は「主治医のところはいっぱいだし、遠くには行けない。近くでできてよかった」とほっとした様子。男性(72)も「近くで打てるのがなにより。スムーズにいったし、本当にありがたい」と感謝していた。

 木村さん、中村さんはプロジェクトについて「地域が主役。僕らを道具として使ってもらえれば」と話し、梶田さんは「甚大災害にまちがどれだけ迅速に対応できるのか、試金石にもなる」と、地域の力に手応えを感じていた。


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