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再出発支援 少年院出院者ら働く飲食店開店へ

2021年8月2日

 人生の再スタートに踏み出す人を支援する飲食店が23日、大阪市福島区に本格オープンする。少年院の出院者などが調理や接客を担当するカキフライ専門店だ。夜は立ち飲み屋に衣替えし、人生につまづきながらも前を向いて生きる人たちが「店長」を務め、来店客の悩みや相談に耳を傾ける。

店舗の調理場に立つ黒川さん。「おせっかいな社会」にしていきたいと語る=大阪市福島区

 今回の取り組みを展開するのは、少年院の出院者や刑務所の出所者たちに生き直す場を提供している「良心塾」(同区)。

 塾長の黒川洋司さん(49)は、区内の野田新橋筋商店街などで計3店舗の美容室を経営している。今回、新たに飲食店をスタートさせ、「ここで経験を積んでもらい、独立していってほしい」と願っている。

 店の名前は「結笑和(ゆにわ)」。店頭には黒川さんのほかに20〜45歳の男女のスタッフが立つ予定だ。それぞれに生きづらさを抱え、少年院などを出院したスタッフもいる。現在はプレオープン中で、10食限定のカキフライ定食やカキの炊き込みご飯などを販売している。

 岡山県の瀬戸内海で育った大ぶりのカキを使い、瞬間冷凍の技術でカキ本来の味わいを楽しむことができるという。

 夜は立ち飲み屋として営業する計画を立てていたが、新型コロナウイルスの感染拡大の状況を見ながら判断することにしている。目指しているのは人生の駆け込み寺とも言える、おせっかいな立ち飲み屋だ。

 日替わりで異なる「店長」が店に立つ。自衛隊員時代に過ちを経験し、現在は無農薬農家として働く男性や、トランスジェンダーで女子少年院の出院者などが店長を務める予定。来店客のさまざまな悩みや相談に乗るという。

 黒川さんは公民権運動の指導者、マーチン・ルーサー・キング牧師の「最大の悲劇は悪人の執拗(しつよう)な暴言ではなく、善人の沈黙と無関心だ」という言葉に触れ、無関心でいるのではなく「おせっかい」が大切だと考えている。

 「被害者も加害者もつくらない社会にしたい。僕だけではできないが、みんなで協力すれば負の連鎖を愛の連鎖に変えていける」と話している。


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