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コロナ禍でも平和発信 ピースおおさか開館30周年

2021年9月14日

 大阪市中央区の大阪国際平和センター「ピースおおさか」は、17日で開館から30年の節目を迎える。昨春からの新型コロナウイルス禍で一時臨時休館に追い込まれながらも、イベントの参加人数を制限するなど感染症対策を徹底し“平和の情報発信基地”としての役割を果たしてきた。12日には開館30周年平和祈念事業が行われ、空襲体験者や遺族らが参加。講演会で同施設展示アドバイザリー委員を務める大阪府立大の橋爪紳也特別教授は「大阪の平和、世界の平和のために貢献する施設であってほしい」と力を込めた。

「刻の広場」で空襲犠牲者に祈りをささげる市民ら=12日、大阪市中央区のピースおおさか
30年間の歩みを振り返る橋爪教授=12日、大阪市中央区のピースおおさか

 同施設は、大阪の人々の戦争体験に関する情報や資料を収集、保存、展示しようと91年9月17日、大阪城公園南側に開館した。大阪府社会福祉会館内の府平和祈念戦争資料室(81〜90年)を前身とし、市民からの寄贈も受け収蔵品は1万点を超える。

 「大阪空襲死没者名簿」の保管、展示は重要な事業の一つで、2005年8月には大阪空襲死没者を追悼し平和を祈念する場「刻(とき)の庭」を新設。死没者の氏名を刻印した銘板があり、氏名の追加を行いながら、今年9月時点で9089人分を掲示している。

■基本計画に立ち返り

 橋爪教授は、開館前に府、市が策定した基本計画から目指すべき10項目を「世界平和を目指す大阪のシンボル的な施設」「学校教育における平和学習に協力する施設」「府民、市民の参加、協力のもとに運営する施設」と読み返し、「何かあれば、ここに立ち返るべき」と強調。

 同施設の建築設計を手掛けたグループの初期スケッチや模型も取り上げ、デザインに込められた意味を「象徴的な求心的なモニュメントはなく、多様性を認め、かつ個々に自立すること」と紹介した。

 次の節目に向け「戦争を知らない若い世代に平和を訴え、市民活動の場所となる、とりわけ開放的であることが重要ということをわれわれが一緒になって形にしていきたい」と呼び掛けた。

■「どの地であっても戦争をしてはならない」

 刻の庭では、今年新たに追加された銘板114人分が公開され、遺族らが献花を行い、犠牲者の冥福を静かに祈った。

 長年にわたり自身の空襲体験を語り伝え、関連資料の提供にも尽力してきた久保三也子さん(92)=同市福島区=は「前の資料室は手狭で、ピースおおさかの開館は私たちの悲願でもあった。体験者はどんどん少なくなっていくが、これからも展示などで伝え残してほしい」と願った。

 「大阪戦災傷害者・遺族の会」代表の伊賀孝子さん(89)=同市住吉区=は「あっという間の30年、こうして生かされ、式典に参加できたことを感謝している。ここに資料が集まれば、多くの人に見ていただける。どの地であっても地球上で戦争をしてはならない」と話していた。


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