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偲ぶ声を届ける 映画「歩きはじめる言葉たち―」主演の升毅

2021年10月22日

 昨年3月に62歳で急逝した佐々部清監督を「恩師で親友」と慕う俳優の升毅(65)が「佐々部監督を偲(しの)んで、ゆかりの人たちを訪ねる旅」を敢行。その1年間を追ったドキュメンタリー映画「歩きはじめる言葉たち〜漂流ポスト3・11をたずねて〜」(アークエンタテインメント配給)が22日からシネ・リーブル梅田で公開される。

「まだ次の作品で一緒にと思っています」と話す升毅=大阪市内
「歩きはじめる言葉たち〜」の一場面(C)2021 Team漂流ポスト

 升は東京生まれだが、大阪育ちで地元の劇団や井筒和幸監督の映画「ガキ帝国」(1981年)からスタートした関西ゆかりの俳優。「長年役者をやっていて、映画に初めて主演したのが佐々部監督の『八重子のハミング』(2017年)で、高橋洋子さんと夫婦で、初めてがん患者の夫役を演じさせてもらった。これで演技の本質みたいなものを教えていただいた」

 佐々部監督は「半落ち」(04年)で日本アカデミー賞を受賞するなどの名匠。最初の出会いは「群青色の、とおり道」(15年)で「家族ドラマの父親役だった。やることすべてダメと全否定されショックだったが、完成した映画を見て監督がすべて正しいと分かり、この人に一生ついていこうと思った。監督としての才能、人間としての優しさ。以後男対男の付き合いで、親友になった。それが昨年3月、会う約束をしていた日に亡くなったという知らせ。もう信じられず、ただジタバタと…」

 今回は「八重子のハミング」でプロデューサーを務めた野村展代が佐々部監督の新作をドキュメンタリーに変更して監督する作品に誘われて出演。「ドキュメンタリーは初めてで戸惑ったが、自分自身そのままで出演。佐々部監督が撮る予定だった劇映画にちなみ、岩手県陸前高田市にある漂流ポストを表敬した後、彼の死を悲しむ人たちを訪ねる旅に出た。悲しみの中で故人に書いた手紙を預かり、漂流ポストに届けるのが僕の役目。監督の奥さん、娘さんからなじみの俳優さん、スタッフなど大勢の声、言葉が佐々部さんに届けばそこからまた生き直すことができるかもしれない。僕自身も一緒に、そこに立ちたいと思った」(映画評論家/高橋聡)


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