小中学生に無料授業 教育格差解消へ3塾運営 学生設立NPO

 大学の教育学部に在籍する学生が立ち上げたNPO法人ふらいおん(大阪市淀川区)が経済的な理由による教育格差をなくそうと、子どもたちに無料で教育機会を提供する「無料塾」を展開している。「学習の質」のこだわり、一人一人の学習進度に合わせた授業を行っている。

 創設は2020年9月。大阪教育大の学生たちが学校現場を経験する中で、家計が苦しく取り残されている子どもたちの多さや教員不足を実感。クラスメート4人の発案で始まり、21年4月にNPO法人の認可を受けた。

 現在、スタッフは約80人。同市天王寺区で、小学生を対象に学習支援をしている「無料塾Sien」、主に小学生を対象とした学習支援のほか、書道の先生を目指す学生らがイベントを開催する「寺子屋Teller」、小中学生を対象に学習支援をする「無料塾あんだんて」の3校舎を運営。「学校の勉強が難しくて付いていけない」、「学校の勉強より難しい勉強がしたい」という子どもにも対応している。

 スローガンは「社会を翔ける教育の翼」で、「より多くの子どもたちに教育機会を提供したい」(野田風馬副代表理事)と全国展開を準備中。「自己表現」をテーマとしたイベントの開催など学習以外にも力を入れており、横山豊理事は「子どもたちが安心できる第三の居場所、サードプレースになれれば」と話す。

 また、オンラインで提供できる「教育支援ツール」の開発、配信も実施している。これまでに教員の授業計画書である「指導案」を簡単に検索できるツールやゲーム感覚で学べる英語学習アプリなどを開発。「教育を提供する人たちの活動を豊かにする」ことが狙いで、誰でも無料で利用できる。全国の社会貢献団体をポータルサイトに登録紹介する「ポータルサイト事業」も手がけている。

 無料塾の活動は保護者から料金をもらわず、補助金や助成金、寄付金で成り立っている。

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