あきない見聞録

東亜電機製作所

■代表者 水野宏之
■本 社 大阪市淀川区野中南1の2の11
■資本金 1000万円
2021年10月14日

新ブランド立ち上げ奮闘 異業種から新社長 後継者問題に一石

制御盤の製造工場=大阪市淀川区
水野宏之社長

 1935年創業の電気制御盤メーカーは昨年、後継者不足により4代目トップを初めて外部から迎え入れた。新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、取引する製造大手の業績と連動するように売り上げは半減し、経営難に立つさなかだ。苦境にあっても新ブランドを立ち上げるなど奮戦を続けており、金融機関出身の異色社長は「業界全体を巻き込み、新たなビジネスモデルを構築したい」と一石を投じる思いだ。

 中小企業を取り巻く環境は厳しい。受注減が経営に影響を及ぼす一方、経営者の高齢化などに伴う事業承継は待ったなしの状況だ。後継者が見つからないことを理由に、事業が黒字であっても廃業を選ぶケースが多いとみられている。

 帝国データバンクの「全国・後継者不在企業動向調査」によると、2019年の「後継者不在率」は65・2%に上った。さらに経済産業省による試算では、「後継者問題」が解決しない場合、25年ごろまでに最大約650万人の雇用と約22兆円分の国内総生産(GDP)が失われる可能性を指摘している。

 そんなさなか、白羽の矢が立ったのが、会社員時代に先代と交流があった水野宏之社長(42)だ。水野氏は、金融機関を中心に20年間のサラリーマン生活を経て独立。昨年、周囲の反対を振り切ってコンサルティング会社を立ち上げ、まもなくM&A(企業の合併・買収)により東亜電機を引き受けた。

 成果が目に見えるものづくりへの憧れから、資本提携やコンサルティングといった側面支援ではなく、自らが従業員とともに汗を流すことを選択。経営承継は「経営者の意識が変わらない」ことを問題視しており、「選択肢をいまだ同族に頼りすぎている。経営者の準備不足で従業員が泣くことのないよう、一石を投じるような支援をしたい」と業界全体を見据える。

 手始めに今年6月、コロナ禍で新たに乗り出したのが、ITを連携させた新ブランド「Smart E+」(スマート・イープラス)だ。第1弾の商材は、代理店を務める米ビュージックス社製の「スマートグラス」の販売。ゴーグルにテレビ会議システム「Zoom(ズーム)」を搭載することで、製造現場を事務所から遠隔観察でき、指示も出せるのが特徴だ。

 技術畑ではなく、異業種から参入したからこそ、10人いる社員とは丁寧なコミュニケーションを心がけている。家内工業が多い業界にあって、「付加価値を高めるためには仕掛けが必要だ」と水野社長。町工場発の新たなビジネスモデルを展望している。



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