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高い技術力で消費者に提供する丹波屋の商品 |
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松田益睦社長 |
丹波屋は外食産業を主な対象とした業務用食肉卸売事業者。新型コロナウイルス禍の中、2021年に合併・買収(M&A)で創業者から事業が引き継がれてリスタート。高い技術力を背景に消費者目線の新たな取り組みを進めている。
1973年に創業。大阪市内の居酒屋や料理店だけでなく、社員食堂など幅広く取引先を持っている。しかし、高齢となった創業者の先代社長の後継者問題が立ちはだかり、第三者への譲渡を考えた。
地元金融機関である尼崎信用金庫から事情を聴いたのが大阪府南部を主な商圏としている食肉卸売業者の松商(大阪市西成区)。北部への販路拡大とともに、商品開発力の強化を図っていた。創業者も工場長も料理人出身で高い技術力を持つ丹波屋は魅力的な会社だった。
約半年後の2021年4月に株式譲渡で事業承継が成立。全従業員12人の雇用を確保しながら、松商の社長でもある松田益睦社長が新たな経営者としてリードすることとなった。
引き継ぎしたのはコロナ禍の真っ最中。緊急事態宣言などで休止状態の取引先も多く、売り上げが減少しており、松田社長には「優れた技術を持つ各社員の内的パワーが衰えている」。同時に社内の一体感なども不足しているようにも見えたという。
そこで考えたのが一般消費者とのつながり。昨秋から週に一度「土曜市」として工場の一角を開放。通常、店舗などに卸す商品を地域住民に販売する取り組みをスタートした。価格も手頃であることなどから1日50人程度が来訪。人気の牛タンハンバーグは150食ほど、関西の小売店では珍しいTボーンステーキもよく売れている。
「正直言うと、売り上げの問題ではない」と松田社長。肉を売るということを社員に目に見える形で示し、モチベーションの向上や、方向性を一致させることが狙いだ。さらには消費者のニーズをつかみ、新商品開発にもつなげていきたいとも考えている。「まだまだ道半ばです」と言いつつも手応えをつかんでいる。
コロナ禍で自社、取引先ともに大きな打撃を受けている。その一方で「コロナがなければ事業承継もなかったし、新たな取り組みも生まれなかった。ピンチはチャンス。禍福はあざなえる縄のごとしとしたい」。創業50年を間近に控え、新経営者の挑戦は続く。
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