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こだわりの雑貨などを販売する塩熊商店 |
塩熊商店は枚方の地で古くから商いをしてきた老舗で、約350年以上の歴史を誇る。長い商売の歩みの中では扱う商品、業種もさまざま。今は安全性、機能性にこだわった商品を扱っている。同時に地域の活性化などにも積極的に尽力。12代目となる小野紘詳社長は「地元あっての私ども。ともに成長していきたい」と意欲を見せる。
同店の創業は1600年代とも言われているが、詳細は不明。明確な記録としては1710年前後のものが残されている。創業当初の主力商品は塩。代々の直系男子の名前に「熊」がつき、塩屋と名前の熊の文字が屋号の由来と言われている。
当時、近くを流れる淀川は、くらわんか船など水運でにぎわいを見せていた。塩だけでなく、大名行列の人足集めの仕事も請け負っていたという。明治に入ると扱う商品の数が増えてよろず屋に。さらに昭和の高度成長期には建築材料販売を手がけた。
しかし、2000年代に入りホームセンターなど競合店が乱立。経営環境が変化していることを察し、小野社長は販売品目を一般雑貨販売に大きく変化させた。10年には鉄筋や砂などを保管していた資材倉庫を古民家風に建て替えた。
扱う商品にはこだわる。長崎県の陶磁器、波佐見焼きは江戸時代に「くらわんか茶碗(わん)」として販売していたもの。塩は創業当時の産地、小豆島から仕入れる。顧客から好評を得ていた香川県産の靴下を問屋が取り扱わなくなったことから、日本政策金融公庫と連携して直接買い付けている。
自らの商売だけではない。地域の名家として、さまざまな経済活動を推進している。先々代の熊三郎氏は有志と共に枚方信用金庫を創設。1972年には理事長となって、地域の発展に寄与した。
現在、第2日曜日に地元商店主らが開催しているイベント「五六市」には、小野社長も開始当初から参画。実行委員会の一員として運営にも携わっている。
明治維新の鳥羽伏見の戦いでは母屋が焼失するなど歴史の荒波にもまれてきた。「枚方の地で商いをすることは命題。自分だけでなく代々の塩熊が商売をさせてもらってきた。別の場所に行くことは全く考えていない。町をよくすることが店がよくなることにつながる」と小野社長は目を輝かせる。
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