関西あの人この人

市民とともに歩む美術館へ

大阪中之島美術館初代館長
菅谷富夫さん
2021年9月22日
「開館までの30年間は無駄でなかった」と話す菅谷館長

 「この作品が好き。この作品にはこんな思い出がある。美術館を身近に感じ、気軽に来館していただきたいですね」

 柔和な表情を浮かべ、菅谷富夫館長(62)はこう話すが、2022年2月の開館にこぎつけるまでには時代に翻弄(ほんろう)された苦節40年の思いもある。

 大阪中之島美術館(北区中之島4丁目)は、1989年の大阪市制100周年記念事業として美術館構想が始まったが、バブル崩壊や市の財政難で計画が延期。菅谷さんは92年から同館建設準備室学芸員として、作品収集や施設構想に約30年間にわたり携わってきた。

 「この間はけっして無駄でなかった。今では購入したくてもできないイタリアのアメデオ・モディリアーニをはじめ、ルネ・マグリット、フランク・ステラなど、時代を画したアーティストの代表作品も収集でき、国内有数のコレクションを形成することができました。建物もその時代に合った素晴らしい美術館です」

 同館の運営にはPFI(民間資金を活用した社会資本整備)コンセッション方式を日本の美術館で初めて導入し、確実に稼いでいくことが求められるようになった。運営方針としては新型コロナウイルス禍の今、地元や国内のリピーターに焦点を当て、「切り口を常に変えながら新鮮な展示ができるように見え方を工夫したい」と語る。

 開館記念展として、同館収蔵のコレクション約6千点から代表作品を集めた「超コレクション展99のものがたり」(3月21日まで)▽「モディリアーニ展−愛と創作に捧(ささげ)げた35年−」(4月9日〜7月18日)が開催される。

 同館は大阪に関わりのある近代・現代美術の作品や収集にも力を入れており、大阪に焦点を当てた展覧会も企画し、大阪の作家を広く知ってもらうことにも力を入れるという。

 このほか記録フィルムなどのアーカイブ機能の充実も特長だ。「訪れること自体が楽しみとなるような施設や機能を備え、多くの方に活用していただき、地域振興など、皆さまと一緒に成長したい」と願いを込める。

 ウィズ・コロナ、アフター・コロナ、さらに2025年大阪・関西万博に向けて、市民とともに歩む美術館として新たな未来図を描き始めた。



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