金井啓子の伴走で伴奏

18歳成人が投票する参院選

2022年7月4日

政治への無関心は若者のせい?

 今年4月、多くの「新成人」が誕生した。成年年齢を18歳に引き下げる法律が施行されたからである。18歳だけでなく19歳の人まで一気に成人になったのだから、かなりの数である。

 公職選挙法改正で投票年齢が18歳以上に引き下げられたのは、2015年のことだった。その制度にわれわれは随分なじんできた。

 それでも今回の参院選はひとつの大きな区切りである。それは、「成人としての18歳」が投票する初めての国政選挙だからだ。これまでは、「まだまだコドモの18歳が、投票だけはできるようになった」雰囲気が強かったからである。

 成年年齢の引き下げによって、その前日までコドモだった18歳と19歳の人々が、親の同意を得ずに携帯電話を購入したり、1人暮らしのアパートを借りたり、クレジットカードを作成できるようになった。また、自分の住む場所や、進学や就職などの進路も自分の意思で決定できるようになった。

 そんな大きな自由と責任を手にした18歳と19歳が、投票に参加するのが今回の参院選である。

 さて、その若者たちの投票行動だが、20代の投票率は低く政治への無関心が際立つと、繰り返し言われてきた。

 私は若者に接する率が職業柄高いとはいえ、きちんとした統計になるほどの数ではない。それでも、「全員が無関心というわけではない」というのが、私の肌感覚である。日常会話や、授業の感想を書くミニリポート、成年年齢引き下げをテーマにした作文を思い返すと、毎回投票するという学生もそこそこいる。

 ただ、その一方で目立つのは「無関心」というよりは「知識不足」である。あるいは「知識不足から生まれる無関心」かもしれない。ただし、それは若者側の勉強不足とは思えない。

 たとえば、期日前投票の制度はある程度の認知度があるが、住民票を地方の実家に置いたまま都会の大学で学ぶ学生に対して不在者投票の制度をもっときちんと伝えた方がいい。市町村によっては不在者投票への対応がかなり悪いとも耳にするが、もう少し使い勝手を良くできないだろうか。

 制度だけではなく、政治の中身への理解ももちろん大切だ。政治とは何をする場なのか、自分の1票によって何が変わるのか、議員もそして候補者ももう少し「有権者に伝わる言葉」で語りかける必要がありそうだ。無関心は若者だけのせいではない。

 (近畿大学総合社会学部教授)




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