次代の力育む中学教育 中高一貫校の現場から

 少子高齢化やグローバル化が進み、予測困難な時代に対応できる力が求められる中、教育の在り方が問われ、中高一貫校への注目度が高まっている。その入り口となる中学では、どのような教育手法が展開されているのか。現場の実践を追う。

追手門学院大手前中学校

2020年3月26日

「生徒が主役の授業」推進

探究型の授業に臨む生徒ら

 追手門学院大手前中学校(大阪市中央区)は、目的を達成するまでの行動を自ら選択する「生徒が主役の授業」を推進している。答えのない問題の解決を図る探究型の授業はもちろん、答えがある各教科でもその過程を重視。数学の場合、個々が理解を深めて解答にたどり着けるなら、授業中に生徒間で教え合ったり、参考書やインターネットの活用も認めるといった形だ。学びの集団を形成し、社会に出てから必要な力を習得させるのが狙いだ。

 数学教諭の福島哲也学習推進・進路指導部長は「生徒全員に一斉に指示を出す機会は年間を通して多くない」と話す。

 授業の運営方法はこうだ。最初に、中間テストから期末テストといった期間を区切り、習得すべき知識と技能をリストで提示。その全てにチェックを入れるのが目標になる。

 各授業の最初は、福島教諭が授業の目標などを端的に説明。その後、生徒はその達成に向けてばらばらに動きだす。

 福島教諭の解説を聞きたい人は周りに集まるが、1人で黙々と取り組む生徒がいれば、2、3分で次の行動を取り、他の誰かの力を借りる生徒もいる。

 授業の最後には振り返りをして、自身の学習や行動を確認。授業内容の定着を図る。

■学びの集団を形成

 「学びの集団をつくるのを一番大切にしている」と福島教諭。単純に自由行動を許すわけではなく、「どう行動すれば目標を達成できるのかを自分で考え、その責任は自分が取らないといけない」と力を込める。

 かつては講義形式の手法を追求したときもあったが、社会で必要な力を育めているのかを疑問視。生徒同士の学び合いを促す仕掛けを教育学者から学んだ。府内の公立中学勤務時代、全国学力・学習状況調査(全国学力テスト)で点数が低かった学校を全国平均以上にする成果も上がったという。

 知識や技能面だけでなく、困ったときに人の力を借りたり、困っている人に力を貸せたりする資質を重視。追手門学院の教育理念「独立自彊(きょう)・社会有為」を引き合いに「自立し、世に貢献する人を育てていきたい」と意欲を示す。

■新評価の導入も

 教員が最初に授業の目的を説明し、生徒同士の協働の学びを繰り広げ、最後に振り返りをする3段階のスタイルは全授業の8、9割で導入。あらゆる時間で「生徒が主役の授業」に取り組むが、目玉の一つは「探究」の授業だ。

 3学年でそれぞれ週2時間設定。2019年度の1年生は、遠足の目的地から行動までコース作りを自分たちで手掛けた。それぞれの場所で何をするのか、自分たちが学習したい内容にそって決定。3年生では、人物をテーマに探究活動をしたグループの一つが、民間企業主催の探究型学習発表会「クエストカップ全国大会」の出場チームに選ばれた。

 こうした実践を踏まえ、20年度は、テストの成績以外も評価の対象にしていく方針。あらかじめ設定した到達度に応じて評価を決める「ルーブリック評価」を各教科に導入する。西浦誠教頭は「社会から求められる力を授業で培い、評価していきたい」と抱負を示している。

■校 長 浜田賢治
■創 立 1950年
■住 所 大阪市中央区大手前1の3の20
■生徒数 約350人


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