次代の力育む中学教育 中高一貫校の現場から

 少子高齢化やグローバル化が進み、予測困難な時代に対応できる力が求められる中、教育の在り方が問われ、中高一貫校への注目度が高まっている。その入り口となる中学では、どのような教育手法が展開されているのか。現場の実践を追う。

課題解決能力・英語力の育成

2020年5月28日

企画や体験の場に豊富

1〜3年の縦割りのゼミ形式で自由研究を発表し、意見交換する大教大付属中の生徒ら
ポスター発表を通して段階的に探究力を育成している清風南海中の授業

 新型コロナウイルス感染拡大の影響で各種イベントが中止され、受験生らの情報収集の機会が例年よりも制限されている。そこで今回の「次代の力育む中学教育−中高一貫校の現場から」は、予測困難な時代に対応できる力を育もうと、各校が取り組んでいる実践事例を整理。学校選びの目安の一つとして紹介する。近年注目を集める「課題解決能力」と、日本の教育現場で長年試行錯誤が続く「英語力」の育成方法に着目。手順と手段の掛け合わせ方を読み解く。(隔月掲載)

 偏差値をはじめ進学先や部活動の実績は、学校選びに欠かせない要素。しかし、社会に出てからの長い人生を見据えれば、各校が「課題解決能力」をどう育成しているのかをチェックしておくのは重要だ。

 IT普及前に比べ、将来を予測しにくくなった社会環境の中では、自身が置かれた状況の中でよりよい道を探り、自ら開拓していく力があれば、より満足のいく人生を歩むのに役立つ。

■40年分の視点活用

 中高一貫校の特色の一つは、一般的な高校受験対策の時間を、各校が重視する教育内容に活用できる点。すでに多くの学校が、中学の段階で「探究型」授業に注力している。

 課題を解決するためにまず必要なのは、何が課題かを見いだす力。その力を引き出すための環境整備が必要だ。

 大阪教育大付属天王寺中(大阪市天王寺区)では、生徒自身がテーマを決めて取り組む「自由研究」を、1947年の創立当時から重視。優れた内容は毎年度、概要を冊子にして保管しており、40年以上さかのぼって内容を確認することができる。

 また、全学年の生徒が、各教諭の専門性に合わせて集まる「縦割り」のゼミ形式を導入。資料と身近な存在の両面から、何を課題に設定して取り組めばいいのか、視点を学べるようにしている。

■習得過程を重視

 課題を決めたら、自分なりの答えを導きだしていくが、そのための手順を習得していなければ正確さや説得力に欠ける。

 清風南海中(高石市)では、調べ学習を3学年全てで実施しながら、段階的に力を伸ばせるように工夫している。

 1年には、本やインターネットの情報収集とともにフィールドワークに臨ませる。情報収集の基礎の習得を促す形。2年では、日本と世界各国との比較をさせる。本質を導き出すために必要な比較する力を育成のが狙いだ。この時期には海外研修も組み合わせる。その上で、3年には世界の問題の解決策を考えさせている。

 課題解決の手順は、一朝一夕で身に付かないため、段階的な習得をどのように促しているかが問われる。

■伝える力も強化

 解決策を導き出しても端的に発信できなければ、最大限の効果を発揮できない。

 同志社香里中(寝屋川市)では、海外旅行の企画立案などを通して「情報編集力」を養う。

 リポート用紙10枚でツアーパンフレットを作成すると、スライドを使って90秒のプレゼンテーションで発表。最終的には絵コンテなどを使った15秒コマーシャルにまとめさせる。徐々に制約を厳しくしながら「伝える力」を伸ばす。

 課題解決に向けた探究力の育成には、課題の設定から解決策の発表まで、「手順を押さえた計画」が重要。各段階では、外部との連携や情報通信技術(ICT)機器の活用といった「手段の充実」が求められる。



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