にちにち動物百科

 動物園はワンダーランド。ライオン、キリン、チンパンジー…。大阪市天王寺区にある天王寺動物園は、都会の真ん中でありながら、非日常の世界が広がります。のんびりさんだったり、怒りんぼうだったり。私たちがそうであるように、動物たちも見ているだけでは分からない愛くるしい一面があります。飼育員だから知っている動物たちの性格や食事、クスリと笑えるエピソードも交えて紹介します。

☆14 エランド

2019年5月9日

優しい瞳で、仲むつまじく

仲良く一緒に草をはむ2頭(手前がミナミ、奥がルティー)
ぴんっと立ったリーゼントがかっこいい男前のルティー
真っすぐにとがった角を持ち、面長美人のミナミ

 天王寺動物園の草食動物アフリカ・サバンナゾーン。「キリンに、シマウマに…。あの動物なんだっけ?」と思ったことありませんか。茶色のつやつやした毛並み、とがった長い角、大きい黒目が優しい印象を残す動物。それが、今回の「エランド」です。

■ミナミ、念願デビュー

 天王寺動物園には、雄のルティー(12歳)と雌のミナミ(2歳)が暮らしています。

 ミナミは、ルティーのパートナーだったルナが2013年9月に亡くなった後、新たなお嫁さん候補として17年10月に「よこはま動物園ズーラシア」(横浜市)から来園しました。

 しかし、恥ずかしがり屋で臆病な気質のミナミは、環境の変化に慣れるのに時間がかかりました。音に敏感なミナミにとって、車や工事の音が絶えず聞こえる園内は、刺激が強かったようです。

 グラウンドに出るためのトレーニングは、部屋を出ることからスタート。翌年4月から、グラウンドの奥にあるサブエリアに出ることができました。順調に見えたトレーニングですが、サブエリアとグラウンドの間にある溝に角が引っ掛かってしまうアクシデントもあって難航。休園日を使って地道にトレーニングを続けました。グラウンドに出ることができたのは、昨年12月でした。

 その後、グラウンドを囲う電柵を覚えさせて今年1月についにデビュー。現在は、ルティーと仲むつまじい姿で来園者を迎えてくれています。

■頼れるルティー

 ミナミより10歳上のルティー。長らく一人(頭)暮らしが続いたからでしょうか、ミナミにはとても優しく接しているそうです。

 ミナミがグラウンドに出た当初、シマウマのナデシコ(雌)が追いかけ回すことがありましたが、ルティーが素早くブロック。今も、つかず離れずの距離で後ろから見守るルティーです。

 ルティーはミナミより体が一回り大きく、うねった角とりりしいリーゼントが特徴。ミナミの角はストレートで、両前足の後ろの黒い部分も見分けるポイントです。

 また、エランドにはウシと同じく首に垂れ下がった皮膚「胸垂(きょうすい)」がありますが、大きく垂れているのがルティー。飼育員さんいわく、「(大きさは)年齢によるもの」。それも、“おじさまの余裕”ということで−。

【エランド】 ウシ科。中央・南アフリカに分布。体高は1.8〜2メートル、体重は雄で400キロから1トンあり、ウシ科では最も大きい。胸側部に白い線がある。


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