にちにち動物百科

 動物園はワンダーランド。ライオン、キリン、チンパンジー…。大阪市天王寺区にある天王寺動物園は、都会の真ん中でありながら、非日常の世界が広がります。のんびりさんだったり、怒りんぼうだったり。私たちがそうであるように、動物たちも見ているだけでは分からない愛くるしい一面があります。飼育員だから知っている動物たちの性格や食事、クスリと笑えるエピソードも交えて紹介します。

☆16 ワオキツネザル

2019年7月11日

便利な長い尻尾が特徴

黒と白の長い尻尾を持つワオキツネザル
両手バンザイで日光浴。とっても気持ち良さそう
手先は器用で、二本足で立っておやつのニンジンをゲット

 “感性にふれる”がコンセプトの新感覚生き物ミュージアム「ニフレル」(吹田市)。動物たちが自由に動き回る「うごきにふれるゾーン」で、ひときわ元気なのが「ワオキツネザル」です。遊具へ飛び移ったり、長い尻尾をぴんっと立てて、人間の足元をするりと通り抜けたり。活発な様子に思わず「ワオッ!」なんてね。

■尻尾は何役?

 ワオキツネザルの名前の由来は、黒と白のしま模様の尻尾から。輪が連なった尻尾なので「輪尾(わお)」。当然ながら、「ワオッ!」ではありません。

 自分の体よりも長く、ふさふさの毛で覆われた尻尾には、多くの役割があります。まず一つ目は目印。西インド洋のマダガスカル島の低木林に生息するワオキツネザルは、尻尾を立てて歩くことで、仲間とはぐれないよう居場所を教えています。

 そのほか、木の上でのバランスや、縄張りを示すマーキング、けんかの時には尻尾をぶつけ合って威嚇します。さらに、寒い時には首に巻いてマフラー代わりにしたり。木にぶら下がることはできませんが、尻尾一つで何役もこなします。

■マイペースな男子たち

 ニフレルには、10頭が暮らしていますが、全て雄です。理由は、雌は気性が荒いから。野生の群は雌を中心に形成され、闘争するのも雌同士。弱い雄に対しては、雌からけんかを仕掛けることも。子どもを背負ったままジャンプして蹴り合ってけんかする様子は「ジャンプファイト」と呼ばれています。

 ニフレルでは、檻(おり)で囲わずに展示し、繁殖目的の飼育ではないので、必然的に雄だけの集団になりました。多少のけんかもありますが、「温厚な群になっている」と担当キュレーターの沢峻介さん(26)。最年長は18歳のフクゾウ、最年少は4歳のブルー。群の中の順位付けはありますが、それぞれマイペースに暮らしています。

 生活スペースには、数基のライトが設置され、いつも誰かが真正面からまばゆい光を浴びていますが、これは彼らの日光浴です。

 ワオキツネザルは体温調節が苦手で、野生でも冷え込んだ朝は、朝日に向かって日光浴をしています。ライトに当たるのは、体温維持のための防衛本能。私たちの日焼けサロンとは次元が違います。

 ライトに当たる姿も“十頭(人)十色”。片手のみや両手バンザイ、はたまた「すしざんまいっ」まで。それぞれのんびり過ごす姿に、男子校の気安さを想像したりしました。

【ワオキツネザル】 霊長目。キツネザル科。マダガスカル南部に生息する固有種。体長は尻尾を入れ55センチ〜60センチ。体重は2.3キロ〜3.5キロ。


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