にちにち動物百科

 動物園はワンダーランド。ライオン、キリン、チンパンジー…。大阪市天王寺区にある天王寺動物園は、都会の真ん中でありながら、非日常の世界が広がります。のんびりさんだったり、怒りんぼうだったり。私たちがそうであるように、動物たちも見ているだけでは分からない愛くるしい一面があります。飼育員だから知っている動物たちの性格や食事、クスリと笑えるエピソードも交えて紹介します。

☆20 アルパカ

2019年11月14日

美男美女カップル 寒さは大好き

柵から顔を出して餌をもらうプリン。優しい気質の動物なので、子どもと触れ合う機会も多い
黒毛の「プリン」。おてんばで活発な女の子
白い前髪と目の周りが黒いのが「オークン」。名付け親は、寄贈主の引田天功さん

 “世界一♥がある動物園”こと、五月山動物園(池田市)。3度目の来訪は、アルパカの「オークン」(雄)と「プリン」(雌)の登場です。大きく潤んだ瞳に、ナチュラルにカールした黒髪−。思わず「ア、アンドレ…」とつぶやいてしまいました。同園きっての美男美女カップルを紹介します。

■贈り主はプリンセス

 「オークン」と「プリン」は、ともに2008年生まれの11歳。10年に、栃木県の那須アルパカ牧場から一緒にやって来ました。贈り主は、イリュージョニストの引田天功さん。その前年に池田市が市制70周年を迎えたことを記念し、アルパカの繁殖活動を支援する天功さんから、寄贈を申し出たそうです。

 「オークン」は前髪と首と足の一部が白毛。顔もベースは白ですが、目の周りは黒毛です。園に来た当初は、左目の周りの黒毛がハート形に見えることが話題になりましたが、成長に伴って今は消滅してしまいました。

 「プリン」は、つややかな光を放つ漆黒の毛が特徴。長めの前髪が大きな瞳にかかり、その憂いある姿は、漫画「ベルサイユのばら」(池田理代子著)の「アンドレ」を思い出されます。ただ、「プリン」は勝ち気で活発な女の子。ならば、アンドレではなくオスカルでしょうか。

■油断大敵、つば攻撃

 家畜であり、人懐っこい性格のアルパカ。2頭も来園者が差し出す餌を、柵の上から顔を出して食べます。鳴き声は「ぷ〜ん」。なんだか、とてものんびりした気分になりますが、気を付けてほしいのが、「つば攻撃」です。

 噛(か)んだり、蹴ったりできない彼らの最大の防御であり、攻撃がつばを吐くこと。これが、とてつもなく臭いんだそうです。「ほぼ胃液ですし、餌を食べた後は緑色のつばが、プシャーとされます」と、瀬島幸三園長も苦笑します。

 過度のプレッシャーや意地悪なことをしなければ、つばを吐かれることはありませんが、口をくちゃくちゃ動かしていたら要注意だそうです。

■アルパカの季節

 同じ年カップルの「オークン」と「プリン」。14年に繁殖が成功し、同年12月に「ケークン」(雄)が誕生しましたが、生まれながらの障害があり、翌年2月に死んでしまいました。

 子どもの期待がかかりますが、園では、あくまで自然の流れに任せると見守ります。

 標高4千メートル級のアンデス山脈の高原が原産のアルパカ。暑さに弱く、夏はクーラーがフル回転ですが、寒さは大好きです。「これからが彼らの季節。活発な姿を見に来てほしい」と瀬島園長。ホットな“♥”があふれる園になりそうです。

 協力=五月山動物園

【アルパカ】 ウシ目ラクダ科。南米アンデス山脈で放し飼いされている家畜。主に毛から上質な織物がつくられる。


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