にちにち動物百科

 動物園はワンダーランド。ライオン、キリン、チンパンジー…。大阪市天王寺区にある天王寺動物園は、都会の真ん中でありながら、非日常の世界が広がります。のんびりさんだったり、怒りんぼうだったり。私たちがそうであるように、動物たちも見ているだけでは分からない愛くるしい一面があります。飼育員だから知っている動物たちの性格や食事、クスリと笑えるエピソードも交えて紹介します。

☆22 テンジクネズミ

2020年1月16日

愛くるしいつぶらな瞳

つぶらな瞳につやつやの毛並みが愛らしいテンジクネズミ
怖がりな一面もあるので、ふれあいタイムでは“隠れ家”になるような木の台が置かれる。やっぱり、ここが居心地が良さそう!?
餌の青草に群がり、一心不乱に食べてます

 今年のえとは「子(ね)(ネズミ)」。十二支の始まりの動物ですが、民話によると牛の背中にこっそり乗って門が開いた途端に跳び降りたから1番目になったとか。また、現代でも倉庫の穀物を食べたり、家の柱や家財道具をかじったりと、何かと「厄介者」で「ずる賢い」イメージです。とはいえ、十二支にならって本年1回目は「テンジクネズミ(モルモット)」に会うために天王寺動物園(大阪市天王寺区)へ。厄介者はどこへやら。つぶらな瞳からは、隠しきれない愛くるしさがあふれています。

 「テンジクネズミ」は和名で、漢字では「天竺鼠」と書きます。テンジクは「昔のインド」を表す言葉ですが、原産地は南米大陸。日本に入ってきたのは、江戸時代の1843年とされていて、「遠い大陸からやってきたネズミ」ということで、テンジクネズミと呼ばれるようになったという説があります。

 ただ、私たちが動物園やペットショップで見るテンジクネズミは、食用や実験用、ペット用に品種改良された「モルモット」です。3千年前にはすでに家畜化されていたそうです。

■多種多様個性豊か

 天王寺動物園では、4年前から飼育を始め、現在は約80匹に増えました。1回の出産で2〜4匹生み、子どもは2〜3カ月で成熟します。繁殖力の強さはネズミならではですね。

 見てみると、茶色や白色(アルビノ)などの単色個体、茶色と白色、黒色と茶色など柄物個体がいますし、短い毛や長い毛、毛が渦巻いている個体と多種多様です。担当飼育員の市成崇さん(49)によると「色合いは意図して作れない」といいます。生まれてみないと分からないのです。

 性格は、基本穏やかですが、神経質で用心深い一面もあり、大きな音は苦手です。社会性を持つ動物ですので、集団生活の中では強い者とそうではない者というように、序列化されていくといいます。

 見てみると、餌を巡ってけんかしたり、好奇心旺盛な個体は先頭を切ってリーダー的存在になるとか。市成さんは「食い負けする個体もいる。まんべんなく餌を与える」ことに心を砕きます。

■意外と大食漢

 モルモットは、意外と大食漢。完全な草食で、一日に3・5キロの青草を消費します。ヤギとウサギ2匹で一日4キロといいますから、80匹とはいえ、体の大きさを考えるとかなりの量です。また、モルモットは体内でビタミンCを合成することができないので、ペレットは欠かせません。ニンジンやリンゴもおやつ程度に与えています。

 よく食べる分、もちろん出ていく量も多くなります。それが「とても臭い」(市成さん)そうです。人間とのコミュニケーションも取れるので、ペットとしても人気のモルモット。飼いやすさもありますが、餌とトイレのお世話は少し大変そうです。

【テンジクネズミ】 南米全域に分布。草食性で草原に巣穴を作って暮らす。3千年前には家畜化されていた。前足は4本、後ろ足は3本の指を持つ。寿命は5〜7年とされる。


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