大森均の釣れ釣れ草

チヌの人気は全国区

若狭本郷の筏釣りで49センチ
2020年6月19日
樋口さんが仕留めた49センチのチヌ

 チヌ(標準和名・クロダイ)ほど日本の釣り人に全国区で人気のある魚はいない。オスに生まれて4〜5年たつと性転換してメスになる。さしずめ、人間で言う「おかまちゃん」というところか。ただ、全てがメスになるわけではなく、雌性ホルモンが不足した固体は性転換しないらしいが、とにかく性転換するということがこの魚の魚類学上の特徴である。

 各地の釣り雑誌をみても、チヌが取り上げられていないものはないし、その紙面に割かれている量でその人気をうかがい知ることができる。

 釣法においても、全国津々浦々で、その土地にあった独特の発展型が定着している。それは、この魚の習性に起因するところが大きい。その悪食ぶりは驚くほどで、オキアミ、エビ、カニはもちろん、サツマイモ、スイカ、ミカン、サナギ、麦、トウモロコシなど、おおよそ魚類が口にすると想像しにくいようなものまでエサになる。

 このような食性を持つことから、サツマイモの産地でそれをエサにした釣法が発達したことも不思議ではない。フカセ釣り、紀州釣り、カセのかかり釣り、防波堤のヘチ釣りと大きく分けられた中で、「濁り」に集まるチヌの習性を見事なまでに突き詰めた伝統的な「紀州の技」は、堤防や磯からウキを使って遠投する釣りと筏(いかだ)やカセ(小船)から短竿(ざお)で足元を攻める釣りに「ダンゴ」を共通項に分かれて進化した。

▽神様のご褒美

 9日、高槻市の樋口幸造さんは、今年に入って3回目のチヌ釣りに若狭本郷に出かけた。筏から繊細な軟調の短竿で釣るこの釣りは、針と小さなガン玉を付けただけのシンプルな仕掛けでエサをダンゴで包んで海底へ落とし込む紀州発の釣法だ。

 午前7時の2番船で筏にあがり、とにかく釣り始めた。

 「序盤は、魚を寄せるつもりで短いピッチでダンゴを打ち返しました。十数回そんな動作を繰り返し、1時間半ほど経過したころでしょうか、穂先に先ほどまでとは違う変化が表れました。コツッ、コツッと小さいが力強いアタリが…。立ち上がりながら大きく合わせると、ドーンと重量感が伝わりました。穂先が海面に触れるほど持って行かれるくらいの強い引きで大物と確信しました。慎重にやりとりをしながら少しずつ距離を詰めると、海面近くでギラッとシルバーメタリックの魚体が反転。思わず『大きい!』と、言葉が出ました」と、その始終を興奮気味に語る樋口さん。

 慎重にタモ入れしたチヌは自己記録更新の49センチ。その2投後、また来た! 今度は44センチ。40センチ以上のチヌが2尾連発で釣れたこと自体、樋口さんにとっては初めての経験だったという。しかし、この日は、撤収前にそれらしいアタリが一度あっただけで、釣果には結びつかず納竿(かん)となった。

 「コロナで自粛していた分だけ神様がご褒美として、良型を釣らせてくれるような予感がありました。しかし、49センチと44センチのサイズが2尾も釣れるとまでは考えていませんでした。ラッキーです」。樋口さんから満面の笑みがこぼれた。

週末のイチオシ気配

■船(1)■高巣港・福井

 16日に解禁した玄達瀬で18日、2人連れがヒラマサ70〜85センチ10尾と、イサギ35〜40センチ16尾、グレ30〜45センチ6尾など魚種多彩。要予約。▽アラタニ釣具店=電話0776(85)1604

■船(2)■田辺・和歌山

 深海釣りのキンメダイ堅調。30〜40センチ10〜30尾見込める。16日、同魚30〜45センチ28尾。貸電動リールと仕掛けあり。エサはイカの短冊、サバの切り身。要予約。▽海凰丸=電話090(6242)8507

■船(3)■明石・兵庫

 マダコ順調。連日、0.4〜2.5キロのマダコ20〜50パイ。今年は良型多そう。タコエギ、オモリ50号。6月は火・水曜日が休業。要予約。▽名田屋乗合船=電話078(912)7211

■船(4)■印南・和歌山

 イサギ好調。同魚27〜40センチ50〜60尾が連日の竿頭。ハリス3号、テンビン3〜4本針、オモリ100号。要予約。▽仲政丸=電話0738(24)1844

■磯■大引・和歌山

 グレ動き活発。アシカの子で同魚30〜40センチ5〜8尾、他にイサギ2〜3尾。ヒジキでグレ30〜35センチ3〜5尾。エサはオキアミボイル。水温24度。▽村井渡船=電話0738(65)1041

■筏■栖原・和歌山

 17日、五目筏のヌカ切り釣法でグレ20〜33センチ12尾。マタギ筏のかかり釣りでチヌ33〜45センチ4尾。エサ盗りは小鯖とアイゴ。▽かるも丸=電話0737(62)3527

■波止(1)■北港・大阪

 エビ撒き釣りで良型ハネ堅調。連日、同魚45〜70センチ2〜5尾。他に落とし込みのチヌは引き続き好調、同魚40〜50センチ3〜10尾。▽ヤザワ渡船=電話06(6573)7712

■波止(2)■岸和田一文字・大阪

 飛ばしサビキでアジの良型が沖一文字北で釣れている。数は20〜30尾程度も20センチ超の良型が出てお土産確実。他にタコジグでマダコ200〜500グラム10〜20パイ。▽岸和田渡船=電話072(436)3949

 (大阪日日APG 松田勝也)



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