大森均の釣れ釣れ草

「釣れ釣れ草」20年に向けて

2020年6月26日
千回の中で最も多く登場した大西満名人
かつてこんなバケモノ級の魚も登場した

 この欄を担当して19年になる。始まるにあたって当時の編集局長から「釣りの周辺」に力を入れて書いてほしいとのご指示があった。スポーツ新聞の釣り欄によくある「行ってきました。釣ってきました」の記事や詳細なテクニックは本紙にはなじまないということらしい。それは得意の分野だと「任しといて!」と胸をたたいたものの、毎週、千字のネタが無尽蔵にある訳でもなく、七転八倒の産みの苦しみが待ち受けているとは…。

 「行ってきました。釣ってきました」の釣行記事やテクニック、仕掛けの理屈などに特化した方がどれほど楽だったことか。

▽文人釣り師の才能

 過去に幸田露伴や福田蘭童などの文人釣り師のことを書いた記憶がある。スポーツ選手や実業家、政治家などの釣り好きの名を瞬時に思い出すことは難しいが、文壇に釣り好きが多いと感じるのはなぜだろう。

 余談になるが、吉瀬美智子がバス釣りの名手であることはあまり知られていないが、腕はともかく開高健は釣り人としても広く知られている。

 文壇に釣り好きが特に多いのか、と言えばそれは疑わしい。昔から釣り名人は書き下手と言われているが、対してなんでもない釣行の様子を面白おかしく読ませる文人釣り師の才能に釣り好きが多いと、その存在を過大に感じたからに違いない。

▽育毛剤の意味で

 開高健は、釣りに行く前にはヘアトニックを頭に振りかけていく、と随筆に書いた。しかし、これが坊主(釣果がないこと)にならないために育毛剤の意味での縁起担ぎだったということにしばらく気がつかないような文章構成にして、後に読者をニヤッとさせる。

 山本周五郎などは、その小説の中においても失意の境遇にある登場人物を慰めるために、彼らにしばしば「釣り」という時間を与えている。普通であれば、偶然の出会いの場を酒場や職場に求めるものを、釣り場の情景を巧みにとらえて流れに同化させる技巧は、文人釣り師ならではのものだ。

▽他紙にない釣り欄を目指す

 ざっと千回書いた。全国の釣友にアンテナを張って「大きい魚や珍しい魚、釣りの最中に面白いことがあったら知らせて」と、お願いはしてある。振り返ってみると、その場面を表す写真を追加で求めると、ピンボケであったり、魚が半分写っていなかったり、カメラを持っていなかったりと掲載を断念したことも度々あった。

 それでも近年、スマホの普及によりカメラ不所持で断念というケースは少なくなった。もう一つ気付いた傾向は、自分の顔は載せないで、という釣り人の多いこと。これはわが釣友が幾度も葬儀や法事を口実にズル休みを多用したことと無関係ではないと察せられる。

 とにかく、この「釣れ釣れ草」も19年が過ぎた。露伴や周五郎のようには望むべくもないが、単なる釣行記やエッセーにとどまらず、釣りの哲理にまで踏み込むような他紙にはない釣り欄を目指し、20年目に向けてのスタートとしたい。

週末のイチオシ気配

■船(1)■東二見・兵庫

 マダコ順調。0.3〜2.0キロ30〜50パイ。潮回りから今週末さらに期待。タコエギ、オモリ50号。要予約。▽俊郎丸=電話078(942)2749

■船(2)■御坊・和歌山

 イサギ好調。連日、26〜40センチ70尾程度が竿頭。24日、同魚28〜40センチ75尾が竿頭。2番竿73尾。要予約。▽仲政丸=電話0738(24)1844

■船(3)■三国・福井

 解禁した玄達瀬へ出る1日便で24日、4人連れがヒラマサ65〜90センチ37尾とグレ40〜48センチ4尾。その日の潮によりイサキ10〜20尾交じる。要予約。▽越前FC=電話0776(22)1095

■磯(1)■大引・和歌山

 梅雨グレ堅調。アシカの子、ヒジキ、オオクラなどで25〜35センチ5〜10尾。24日、オオクラで同魚28〜34センチ11尾。水温22度前後。▽上野渡船=電話0738(65)1222

■磯(2)■尾鷲・三重

 グレ期待。35〜40センチ3〜7尾程度見込める。外道にイガミの大型やマルハゲ、アコウ、ガシラ等お土産多彩。エサはボイル。▽宮城野渡船=電話05972(2)1347

■筏■堂の浦・徳島

 ウタセエビのエビ撒き釣りがスタート。24日、3人連れがマダイ25〜54センチ20尾。スズキ(60〜80センチ)に加えて今年はマダイ(35〜60センチ)が多い。▽斎藤渡船=電話088(688)0453

■波止■大阪湾全域

 マダコが武庫川沖一文字、大阪北港などで100〜900グラム10〜20パイと大阪湾全域で上昇気配。8月にかけてさらに上向く。▽武庫川渡船=電話06(6430)6519▽ヤザワ渡船=電話06(6573)7712▽岸和田渡船=電話072(436)3949

■投げ■妻鹿・兵庫

 キス上向き。7番付近で同魚17〜23センチ15〜35尾。エサは石ゴカイ。ガシラ、カレイ、アイナメ交じり退屈しない。▽日の出渡船=電話079(246)3030

 (大阪日日APG 川崎禎昭)



サイト内検索