大森均の釣れ釣れ草

目黒のサンマならぬ都島のスズキ

2021年4月30日
スズキ

 大阪湾は、大昔からスズキの魚影がすこぶる濃い。6千年前、海が内陸部まで入り込んでいた頃の八尾市山賀遺跡から多くのスズキの骨が出土したほか、飛鳥時代の朝廷への貢ぎ物リストにもその名がみられるらしい。大阪湾すべてがポイントと言っても過言ではないほど、港湾などのあらゆる場所で竿(さお)が出せる。ブリと並んで成長により呼び名が変わる代表的な出世魚で、30センチまでをセイゴ、30〜60センチをハネ、それ以上をスズキと呼び分ける。

 この魚の最も就餌活動の活発な時間帯は、夜明けから2時間、暮れる前の2時間に見事に偏っているが、この活性の高い短時間だけを狙って釣りに出かけると、出勤前に帰宅ができる。浪速っ子に古くから親しまれている伝統の「出勤前の朝バネ釣り」は、こうしたことから盛んになった。

 

▽川鱸

 「川鱸(スズキ)」という言葉がある。

 かつて、スズキ釣り専門の釣りクラブに所属していたころの話であるが、会員のAさんが「毛馬の閘門のところでルアーでスズキを釣った」という。

 それを聞いた新入りのBさんが即座に「コイでっしゃろ。あのへんはコイならおります」と、そんなはずはないとキッパリ言い切った。そこに物知り顔で会長が割って入った。

 「京都の由良川では20キロほど上流のまったくの淡水域でスズキ狙いのルアーマンが盛んに竿を振っているよ。淀川でも阪神電鉄の鉄橋の下なんかは好ポイントと言われているし、毛馬におっても全く不思議やないしね。ただ、エビ撒き釣りでは釣ったと聞いたことはないけど…」

 スズキはれっきとした海の魚のはず。しかし、大阪に住み多少の土地勘と位置関係がわかっているなら都島の毛馬橋あたりでスズキを釣ったと聞いたら「ウソッー!」と、思うのも無理はない。「目黒のサンマ」ならぬ「都島のスズキ」というところか。

 

▽100キロ以上遡上

 海水と淡水の混ざり合う汽水域はさまざまなプランクトンが豊富で、小魚が多くいるエリアでもある。大雨の後に河口で流されてくるアユなどの小魚を待ち受けている話は釣り人の間では知られているが、よほど塩分濃度に対応力のある魚なのであろう。この中の一部がかなり上流まで遡上(そじょう)する。

 古い文献を見ると、堰(せき)やダムのなかったころは琵琶湖まで遡上する個体もいたと記されている。現在も利根川では、河口から100キロ以上遡上した例があり、広島の太田川でも歓楽街のネオンの明かりが川面に映る場所で多くのルアーマンが竿を振っている。

 とはいえ、塩分濃度の高い場所で釣れたスズキを純淡水のいけすに移したらすぐに死んでしまう。遡上する際に「順応する期間」が必要で、河口に40〜50日ほど滞在してから川にさかのぼる。

 ただ、「川鱸」は食材としては問題がある。特に川の下流部に長期間暮らしたスズキには何とも言えぬ嫌な臭いがある。以前、十三大橋の下で釣ったスズキを帰りに居酒屋で調理してもらったが、同行した2人も一口食べて箸を置いた。「無理!」。

週末のイチオシ気配

 

■船(1)■北港・大阪

 神戸沖に出る朝ショート便のマアジお土産確実。同魚26〜29センチ20〜30尾。集合5時、帰港10時。要予約。▽ヤザワ渡船=電話06(6573)7712

 

■船(2)■西宮・兵庫

 海峡サビキ便でタイ期待。同魚25〜45センチ3〜8尾にサワラ1〜2尾、ハマチ1〜2尾交じる。別便の半夜メバルは、15〜24センチ5〜20尾。要予約。▽釣り人家=電話090(8794)1091

 

■船(3)■比井・和歌山

 日の岬沖のトフでイサギが上昇気配。今シーズンは良型平アジ交じる。28日、同魚27〜37センチ43尾と平アジ30センチ前後13尾。水温17度。▽岬旅館=電話0738(64)2975

 

■船(4)■明石・兵庫

 マダコおもしろい。比較的大型交じる。28日、同魚0.3〜2.0キロ15ハイ。別船でマダイ30〜50センチ1〜5尾。要予約。▽名田屋乗合船=電話078(942)6480

 

■磯(1)■梶賀・三重

 5月1日から大黒周辺が解禁。解禁直後に夢の60センチが期待できる。朝4時45分出船。納竿13時。▽榎本渡船=電話0597(27)2211

 

■磯(2)■大引・和歌山

 アシカの親と子、ヒジキ島などでマダイ良型(40〜60センチ)がフカセ釣り、カゴ釣りともに期待できる。27日、アシカの子でマダイ53センチ、イシダイ45センチ。▽村井渡船=電話0738(65)1041

 

■筏■堂の浦・徳島

 サビキ仕掛けでマイワシ13〜18センチ100〜200尾。他にシラサエビを使ってウキ釣りでマダイ25〜50センチ1〜3尾。また、アジを泳がせてヒラメ期待できる。営業確認。▽細川渡船=電話088(688)2860

 

■波止(1)■西宮ケーソン・兵庫

 ハネ&チヌ一気に上昇気配。エビ撒き釣りでハネ40〜60センチ1〜5尾、フカセ釣りでチヌ35〜45センチ2〜7尾。とくに、二つ目カーブ付近の外向き激奨。▽フィッシングMAX武庫川店=電話06(6411)4848

 

■波止(2)■武庫川一文字・兵庫

 落とし込みでチヌの釣果上向く。同魚35〜45センチ2〜10尾。エサはパイプ虫とイガイ。夕刻にアタリ集中。▽武庫川渡船=電話06(6430)6519

 (大阪日日APG 松田勝也)



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