大森均の釣れ釣れ草

アユ釣り師の心情

2021年10月8日
アユ釣り風景

 本題に入る前に少々。前回この欄で台風16号通過後のウネリに注意!と書いたが、翌日に室戸で堤防の釣り人5人が高波にさらわれて1人が死亡とのニュースが流れた。直撃はせずとも、波の影響は必ずある。自然をよく知ろう。この遊びを楽しむための資格と心得てほしい。

 閑話休題。アユ釣り師にとって心ときめかせた解禁が昨日のように思えるのに、うたたかの夢も最終章を迎える。わが釣友に解禁前日の興奮を表すエピソードがある。小学生の遠足のごとく寝付けないことから「羊が1匹」と勘定するところを「アユが1匹、アユが2匹」と勘定した。川に立ちこんで次々とアユを釣り上げる自分の姿が浮かんでますます目がさえて睡眠不足で初戦に挑んだらしい。それほどアユ釣り師にとって特別の期間が終了を迎える。

 しかし、この釣りに関しては終了時期が一通りではない。アユは晩秋には産卵期に入り、体に鉄さびのような淡い斑紋(はんもん)を生じる。初期は薄く出て次第に濃くなる。それも安曇川のように湖産アユを釣る川では早く9月末にはゲームセットになり、有田川や日高川のような天然遡上(そじょう)のある川ではもう1カ月遅い。言い換えればアユの産卵事情で釣り期が決まる。

 ▽言い訳をしながら

 産卵を終えた親は、疲弊した体を波間に漂わせて、鳥や他の魚の餌食になって1年の生涯を終えるので、香魚の他に年魚ともいわれるゆえんはそこからくる。

 ただ、例外的に水温の低いところに生息したものや餌が十分とれず成熟しなかった個体は越年することもあり、「越年アユ」または「ふるせ」などと呼ばれるが、釣りの対象からも生態からも死に絶えるとの理解で大筋間違いではないであろう。

 アユ釣りをあまりしない私ですら、短い生涯の滅びゆくものへの哀惜と確実に終末に向かいつつある己の人生のわびしさとが重なるような気がするのもこの季節だ。

 私の釣友にはアユ釣りの名手が多い。この時期は、さびが出かかった魚体を痛々しいと思いながらも、彼らも未練がましく「もう一度だけ」と自分に言い訳をしながら、こんな心情でオトリを引いている。

 ▽辛抱の日々

 孵化した子は海に下る。海に下った子アユは、波の静かな沿海域を群泳し、プランクトンをエサとして育ちつつ越冬する。有田川や日高川の天然遡上量の予測は、春先に田辺湾内で捕れた雅アユの量で占うと聞く。春になり川水の温度がぬるむと、5〜7センチに成長した稚アユは慕いよって集まり、やがて大小の群れとなって川を遡上する。遡上の途中にはさまざまな障害があるが、かれんな稚アユがひたすら上流に向かう様は、本能とはいえ涙ぐましさすら感じるのは私だけではないはずだ。その最初の集団を「一番のぼり」という。

 アユ釣り師たちは、これから冬眠に入る。「一番のぼり」がせきを飛び跳ねている場面、解禁日に川に立ち込んでオトリを泳がせている自分の姿、冬眠中のその夢はまさにそんなシーンの連続で、6月まで待ち遠しい辛抱の日々が続く。

週末のイチオシ気配

 ■船(1)■泉佐野・大阪

 午前便で淡路沖タチオウ堅調。5日、同魚65〜105センチ15尾が竿頭。タチウオテンヤ40号使用。要予約。▽海新丸=電話0724(69)2332

 ■船(2)■石鏡・三重

 石鏡沖に出る午後便で引き続きウタセマダイ好調。連日の竿頭(マダイ25〜60センチ5〜10尾)から見て同様の釣果が続きそう。良型ハマチ(40〜45センチ)1〜5尾まじる。要予約。▽幸徳丸=電話090(7303)5080

 ■船(3)■阿尾・和歌山

 秋イサギ好調。5日、日の岬沖に出船して同魚28〜37センチ47尾が竿頭。連日、25〜40センチ30〜50尾程度が竿頭。要予約。▽共栄丸=電話0738(64)2318

 ■船(4)■東二見・兵庫

 今週末の潮周りからのませの青物有望。現在、メジロ60〜70センチ1〜3尾とハマチ35〜50センチ3〜5尾見込める。要予約。▽西海丸=電話078(942)6480

 ■磯(1)■大引・和歌山

 フカセ釣りでグレ、カゴ釣りでイサギ期待できる。アシカの子でグレ25〜35センチ5〜15尾、イサギ30〜38センチ5〜10尾。水温24.5度。▽村井渡船=電話0738(65)1041

 ■磯(2)■中紀由良・和歌山

 アリ島で底物気配。イシダイ40〜50センチ1〜2尾とイシガキ35〜40センチ1〜2尾期待できる。エサはウニ。他にアオリイカ200〜500グラムがエギングで10〜20パイ。▽佐知丸=電話0738(65)0736

 ■筏■本浦・三重

 荒食い直前気配。6日、小田浜筏で2人連れがチヌ24〜46センチ8尾。えさ、シラサエビとオキアミ。エサ取りのヘダイ、アイゴ、チャリコなど。▽やま栄渡船=電話0599(32)6009

 ■カセ■串本・和歌山

 外洋荒れた後には湾内に入り込んだマダイの大型狙いが期待できる。同魚30〜70センチ2〜5尾。メジロやシマアジ、コロダイなども期待できる。▽河田フィッシング=電話0735(62)3812

 ■波止■北港・大阪

 引き続きのませ釣りでブリ期待できる。連日、夢洲でメジロ、ブリ顔見せる。他にフカセ釣りでチヌ40から50センチ1〜5尾。▽ヤザワ渡船=電話06(6613)1075

 (大阪日日APG 清水智之)



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