大森均の釣れ釣れ草

武者震いの初釣り 大吉の釣果願って

2022年1月7日
船上から見る初日の出は格別だ

 釣り師というのは、年がら年中、節度なく釣行を重ねているくせに、もっともらしいお題目にかこつけて新年早々釣り場通いに精を出す。別段、何ということはないのに、まるで仕事か義務でもあるかのように「初釣りだ!」と家人にPRして出かける。言ってみれば、信心深い人の初詣のようなもので、済ませておかないと落ち着かない。そこで一年の縁起担ぎと、御利益も早々に大吉の釣果を望んで、あれこれと釣り場の選定に頭を悩ませることになる。

 釣行前の期待や興奮は、今も昔も変わらないようだ。かの幸田露伴が釣仙といわれるほどの釣り好きであったことはよく知られている。釣友である石井研堂との初釣り釣行前の手紙のやりとりには、釣行を「出陣」と表現しながら、「武者震いがする」などと出かける前の高ぶる胸の内を伝えている。

 露伴ですらこうなのだから、われわれ凡人が遠足前の子どものように前日寝つけないのは当然といえる。深夜出発することが多い私などは、寝そびれてしまって一睡もせず釣り場に立ったことも一度や二度ではない。その睡眠不足を磯の上で寝て補う、という本末転倒ぶりに同行者があきれることも度々。

▽読者の釣運を祈る

 その点、名人や達人と呼ばれる人は違う。

 大切な初釣りを、睡眠不足では万全の体制で臨めない。若い弟子が目的地まで運転する間、睡眠薬を利用してまで強制睡眠を導入して万全の体調で釣りに臨む。

 こんな人たちに数多く出会ってきたが、たいていは父親参観や卒業式など一度も行ったことのないような家庭生活上のダメ男で、仕事上の評価などまったく意に介していない。その傾斜ぶりを妻たちがサジを投げている。とも見えるし、山内一豊の妻にも見える。そういう私も50代の10年は家長の役目を放棄して、五島や串本、宇和海で釣り三昧の正月を過ごしていた。

 その宿で誰もが知る磯釣りの大名人に「『正月くらい家族と過ごしてほしい』『釣りと私とどちらが大切?』なんてことを奥さんに尋ねられたことないの」と聞くと、「ほれた亭主が機嫌よく好きなこと(釣り)をやっているのを喜んどるようや」と、もうほとんど救い難い見事(?)な返答。

 彼らに共通していえることは、人生のすべてに平均点を取ろうなんてことはつゆほども思っていない。社会生活では0点だっていい、と考えているフシすらある。仕事と釣りが重なったら、叔父叔母をどんどん殺して葬儀を捏造(ねつぞう)する。しかし、こと釣りに関しては恐ろしいまでの執念を持っていて、99点ではなく100点でなければ満足しない完璧主義者たちなのである。

 平凡よし、非凡よし、年頭にあたり、この素晴らしい趣味に出会えたことを感謝しつつ、読者の釣運をお祈りする。

週末のイチオシ気配

■船(1)■明石・兵庫

 ガシラメバルがおもしろい。ガシラ20〜28センチ10〜30尾、メバルは初参戦。別船の呑ませ釣りの青物はメジロ65〜80センチ1〜5尾。要予約。▽名田屋乗合船=電話078(912)7211

■船(2)■加太・和歌山

 専門便で肝がすこぶるおいしいカワハギ(20〜28センチ)が10尾前後期待できる。他に早朝便でアジ30センチが5〜10尾。要予約。▽三邦丸=電話050(3532)9619

■船(3)■比井・和歌山

 日の岬沖トフのマダイとメジロ期待。マダイ40〜65センチ2〜3尾とメジロ60〜70センチ1〜3尾見込める。ハリス6号、オモリ120号。要予約。▽岬旅館=電話0738(64)2975

■磯(1)■周参見・和歌山

 グレ30〜40センチクラスが5〜10尾見込める。5日、セ島でグレ30〜42センチ17尾とイサギ35センチ1尾。水温18度前後。▽岩元渡船=電話0739(55)2227

■磯(2)■出雲・和歌山

 5日、エンイチのチョボでグレ33〜35センチ6尾とイサギ30センチ3尾。前日、金床でグレ32〜42センチが12尾。水温18.5度。▽小川渡船=電話0735(62)07430

■伝馬船■印南・和歌山

 イサギ22〜38センチがいい人で10〜15尾。他にメジロなどがまじる。船外機のルアー釣りでオオモンハタなど狙える。要予約。▽木下丸=電話0738(42)0313

■ボート■紀伊長島・三重

 手ボートで出てカマス堅調。5日、手こぎボートで同魚25〜42センチ20尾。仕掛けは、市販ジグサビキ。要予約。▽石倉渡船=電話0597(47)0712

■筏■堂の浦・徳島

 ウチノ海の筏でマイワシ好調。同魚18〜23センチ100〜300尾。3日、同魚18〜23センチ400尾。マキエは米ヌカにアミエビ。▽斉藤渡船=電話090(3782)0837▽岸和田渡船=電話0724(36)3949

■波止■妻鹿・兵庫

 フカセ釣りでチヌ好調。慣れた人は、30〜40センチを1〜5尾程度釣っている。場所によりグレ30センチが2〜3尾まじる。▽日の出渡船=電話0792(46)3030

■投げ■岸和田・大阪

 いよいよ今週末あたりから松の内までが最後のチャンスだ。エサは青イソメ一本で。足元から20メートル沖をチョイ投げで狙う。▽岸和田渡船=電話0724(36)3949

 (大阪日日APG 清水智之)



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