金井啓子の現代進行形

自民党府議団が都構想賛成へ

2020年6月11日

党内の討論会で態度に決着を

 6月5日の読売新聞朝刊を見て驚いた。「都構想自民府議団賛成へ」という見出しの記事には、これまで反対していたはずの自民党大阪府議団に所属する10人の府議が、いわゆる大阪都構想に賛成するとしている。反対の態度を変えなかったのは残りの府議6人。10対6の結果から、自民党大阪府議団は都構想に賛成するようである。

 昨年は公明党大阪府議団と同大阪市議団が、維新が圧勝した統一地方選の結果を見て反対から賛成へと態度を180度変えた。今回の自民党大阪府議団の転向問題は公明党の豹(ひょう)変に続く大きな政治的ターニングポイントだろう。これで、今年11月に予定されている住民投票は賛成多数になる可能性があるからだ。

 もっとも、態度を豹変させたといっても、公明党と自民党とでは根本的に異なる点がある。公明党は大阪府議と大阪市議の全員が反対から賛成へ転じた。対して、自民党は全員が賛成というわけではない。府議の一部と同党大阪市議団は相変わらず反対の意思を貫いている。

 この差は、政党としての思想や性格の問題が絡んでいるのだろう。公明党は、立党思想と政党理念との関係で上層部からの指令には逆らえない雰囲気があり、一人一人の議員の本音は都構想に反対でも、表向きは賛成の態度を取らざるを得ない。

 一方、自民党は、個々の議員にそこまでの統制が効かない。思想や理念よりも党内の派閥力学が大きく左右する。だから、仮に安倍首相から何かを命令されても、自らの意に沿わないなら「嫌だ」と言える空気はある。自民党には、まだ自由にモノが言える党内民主主義が多少なりとも働いている。

 さて、都構想に反対から賛成へと態度を変えた府議たちである。党内で自由にモノが言えるのが自民党の“良心”であるならば、そこに他人が異論を唱える必要はない。賛成なら賛成でいいと思う。

 ただし、なぜ反対から賛成へと態度を変えたのか、その説明は絶対に必要だろう。特に支持者への説明は不可欠だ。昨年の統一地方選では都構想に反対する有権者は大勢いたはずで、その人たちが今回賛成に転じた府議に一票を入れたことは想像に難くない。都構想賛成に転じた府議は、少なくともその人たちへの説明義務がある。その説明抜きに態度を豹変させたままでは、政治家の資格などない。

 そこで一つのアイデアなのだが、自民党大阪の中で討論会をやればどうか。賛成派と反対派が議論を戦わせるのだ。なぜ賛成に転じたかに関する合理的な説明があれば、態度を決めかねている有権者にもアピールできるのではないか。むしろ賛成府議が音頭を取って、ぜひ実現してもらいたいものだ。

 (近畿大学総合社会学部教授)



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