金井啓子の現代進行形

五輪「中止か再延期」の英断を

2020年7月23日

スポーツ精神よりも命を大切に

 きょうは海の日、明日はスポーツの日である。全世界に広がるこのコロナ禍がなければ、今頃は東京五輪の開会式を目の前にして、大いに盛り上がっていたことだろう。

 だが、五輪は延期され、五輪のために用意された連休だけが残った。仕事によっては、4連休となる人もいるかもしれない。リモート勤務など不規則な生活が続く中で、つかの間の休息としてありがたい存在である。

 通常ならば、この季節の休日は、海や山をはじめとしてさまざまな観光地に繰り出したい気分になるところだ。だが、感染の「第2波」が訪れた可能性が高い今、感染しない・させないということを今まで以上に意識せざるを得ない状況に陥っている。ひたすら自宅にこもる生活もすでに長きにわたっていることもあり相当に苦痛だが、やむを得ないようだ。また、外出するにしても、感染防止策を念頭に置いた慎重な行動が求められる。

 なお、私が勤務する近畿大学では、祝日に授業を行うことを数年前にやめたが、今期は授業時間数がただでさえ限られた状況にあるため例外的な措置を取らざるを得ないようで、私も2日間ともオンライン授業を行うことになっている。

 ところで、東京五輪・パラリンピックは今からちょうど1年後へと延期された。

 だが、共同通信社が今月17〜19日に実施した全国電話世論調査によると、五輪・パラリンピックを来年夏に「開催すべきだ」との回答は23・9%にとどまった。一方で、「再延期すべきだ」と「中止すべきだ」という回答を合わせると7割を超えた。

 スポーツの種類によっては、選手の能力がピークを迎える時期が非常に限られていたり、大きな大会に照準を絞って体調を整えることがかなり難しいものもあるらしい。そういった選手たちのことを思うと、五輪・パラリンピックの延期や中止を軽々に唱えるべきではないのはわかる。

 だが、それでも私は、中止であれ再延期であれ「来年は開催するべきではない」という意見を持っている。五輪・パラリンピックまで「たった1年」しかないこの時期に、日本から海外への渡航制限や、海外からの入国制限が厳しく行われている現実を見れば、来年予定通りに開催することはむちゃとしか言いようがない。海外からの選手や観客の命を危険にさらさないこと、海外から日本国内に感染源を招き入れるリスクを取らないことが、今や東京五輪・パラリンピックの運営関係者に課せられている最大の役割と言っても過言ではない。

 今からちょうど1年後、五輪開会式のために用意された連休がまたやって来ることになっている。その時に、開会式が行われず今年同様にさびしくてもいい。とにかく私も含めた多くの人々の健康が守られた状況にあることを願わずにはいられない。

 (近畿大学総合社会学部教授)



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