金井啓子の現代進行形

いつまで続くオンライン授業

2020年10月22日

不便な一方で思わぬ恩恵も

 勤務先の大学では、全てオンライン授業だった前期と異なり、後期からは一部で学内での対面授業も行われている。私の学部では対面授業科目を選ぶにあたり、ラッシュ時の通学や学内で友人同士が昼食をとる機会を減らすことを念頭におき、朝から午後早い時間の授業はできるだけオンラインのみとした。だから対面授業の多くが午後遅めの時間帯である。その結果、私の授業はほとんどオンラインとなった。

 私は、ビデオ通話システムを通じて生中継で授業を行う。大人数の講義では学生の顔出しはさせないため、誰の顔も映らない画面に話しかける状態が続いている。文字によるチャット機能で学生とやりとりをすることもあるが、目の前に学生がいる感覚とはやはり違う。

 ただし、3年や4年のゼミに関しては事情が異なる。基本的にはゼミもオンラインで実施することになっているが、別途個別指導が必要だと私が判断したり学生が希望する場合は、対面で行えることになっている。そこで、何度かゼミ生に大学に来てもらった。

 もっとも、通常は十数人が入れる研究室に今は4人までしか同時に入室できない。だから、それを超える人数が集まった時には大きい教室を借りた。久々に直接見るゼミ生の顔は、画面越しで見るよりも親しみを感じられて、なんとも言えない安心感があった。

 とはいえ、コロナ感染の危険への考え方は人それぞれであり、大学に来るように強制することはできない。実家に帰ったままの学生もいる。そこで、教室で対面授業をすると同時にオンラインでも授業を行う、いわゆる「ハイブリッド授業」とした。その便利さはすばらしい。ただ、リアルとバーチャル、両方に気を配るのはなんとも難しく、全面的な対面授業解禁が待ち遠しい。

 それでも、オンライン授業がむしろありがたいと思う場面もある。それは、私が主宰するある勉強会でのことである。有志の学生たちで英文ニュースサイトの記事を読む「ニュース翻訳塾」という勉強会を数年前から私の研究室で開いているのだが、今年はすべてオンライン。最近では、コロナ流行、大坂なおみ選手のマスク、菅首相就任、米民主党のハリス副大統領候補の記事を読んだ。

 集まる学生の中心は在学中の1〜3年生だが、休学して海外に行っている学生が参加したこともあった。夕方のアルバイト後に帰宅した直後に少し遅れて来た学生もいる。また、私の古くからの友人がボランティア活動のために海外の情報を集める英語力を身につけたいと、勉強会に興味を持ったため、本来は学生のための勉強会なのだが特例として加わっている。こういった学びの場は、バーチャルの世界だからこそ成り立つ。

 制限の多い現状を嘆くばかりでなく、やれることを探すたくましさは、コロナ禍が私に与えてくれた「恩恵」のひとつかもしれない。

 (近畿大学総合社会学部教授)



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