金井啓子の現代進行形

池田市問題に集まる全国の視線

2021年3月18日

市民の対応はいかに

 大阪の北摂と呼ばれる地に、その街はある。池田市という。緑豊かで閑静な地方都市だ。日清食品創業者の安藤百福氏がインスタントラーメンを発明した街であり、阪急電鉄と宝塚歌劇団の生みの親である小林一三氏の自邸があった街としても知られている。

 しかし、最近は別の意味で池田市が有名になった。一昨年4月に大阪維新の会公認で当選した冨田裕樹市長(現在は維新を離党)の疑惑が表面化したからだ。きっかけは、市長室にサウナや簡易ベッド、また生活用品などを持ち込んだことが、週刊誌のオンライン版で報道されたことだった。

 その後、池田市では原因解明と問題追及を念頭に置いた百条委員会が開かれた。その中で市職員へのパワハラ行為や、市長の後援会長が副市長と秘書課職員に対して秘密保持契約を結ばせていたこと、その後援会長に市長の駐車場専用パスが貸与されていたことなど、さまざまな事実や疑惑が出てきた。一連の事柄が全国ネットのテレビ番組で流され、池田市は不名誉な意味で有名になってしまった。

 さて、百条委員会などで冨田市長に関するさまざまな疑惑や新事実が明らかになったが、市長はいずれも否定。サウナを持ち込んだのはヘルニアを患う腰のリハビリのためであり、パワハラは誤解で真相は市職員への「指導」、秘密保持契約について作成を支持したことは「ない」などと報道機関に語っている。

 だが、いずれの弁明も苦しい。市長室にサウナを持ち込まなければ公務が難しいと言いながら、昨年8月の夏季休暇にはバイクで九州を旅行していたことが判明。パワハラと受け取った市職員は複数に上ることから、市長がこれをパワハラではなく「指導」だと言うのなら、パワハラに対する認識が極めて甘いと言わざるをえない。

 さて、一連の問題を池田市議会と池田市民はどう解決するのだろう。百条委員会を開いたから、それで幕引きなのだろうか。市長が記者会見などで弁明すればすべての疑惑は晴れるのか。

 この件と直接の関係があるかは不明ながら、池田市役所で4月から働くはずだった新卒・中途の内定者のうち2ケタにのぼる人が辞退するといった、行政に影響しかねない事態も起きている。学生の就職活動を私は常々見ているだけに、せっかく得た安定した仕事を諦める人々の不安も気になる。

 池田市では前市長が突然辞職を表明し、相手候補が定まらないすきを狙って前市長の長男が市長選出馬を表明。ところが市民から「世襲のための抜き打ち選挙」との反発を受け、冨田市長が市民の期待を背負って当選した。

 市民が冨田市長を選んだのなら、一義的には市民がこの問題を解決すべきだろう。市長の言い分を認めるのもよし、リコール運動するのもあり。注目されているのは冨田市長だけではない。この問題を市民がどう解決するかも全国が見守っている。

 (近畿大学総合社会学部教授)



サイト内検索