金井啓子の現代進行形

人と会う大切さは変わらない

2021年10月21日

コロナが変えた講義スタイル

 私が大学で担当するゼミでは、「実践的な取材と記事執筆を通してジャーナリズムを学ぶ」ことを活動内容としている。ただし、全員がジャーナリスト志望ではない。新聞記者になった人もいるが、多くはない。それでも、人に話を聞いてそれを文字にする活動内容にひかれた学生が毎年集まる。

 昨年来の新型コロナウイルス禍は多くの変化を私たちにもたらした。ゼミ生の「取材活動」も例外ではない。

 コロナ前は、取材のほとんどが対面で行われていた。たまに電話やメールでのやりとりを望む相手もいたが、それは例外的だった。取材相手が東京にいる場合は、関西から東京まで出向くこともあった。

 コロナ禍となって以来、大学ではリモート授業が行われるようになった。私もzoomを使う生中継の授業をずっと行ってきた。今月に入って一部は対面となったが、まだリモート授業のままとなっているものもある。

 ゼミ生たちもオンラインで取材することが多くなった。感染防止のためにはやむを得ないという側面が最初は強かったが、慣れてくるにつれてその便利さからどんどん活用するようになった。何よりも、遠方にいる人に会いやすい。わざわざ交通費をかけずに済むようになったのも、学生たちにとって何よりありがたいようだ。本年度の前期に取材をしたゼミ生は、なんと中東に海外出張中の人に取材することまでできた。

 一方、コロナ流行で就職活動にも変化が起きた。東京に企業が一極集中する傾向が続く中、コロナ前は、関西在住の学生はインターンシップでも選考でも不利な戦いを強いられていた。交通費と体力の負担が大きかったからだ。だが、コロナの影響でオンライン面接が当たり前になると、そのデメリットが消えてだいぶ楽になった。

 ただし、人は便利さだけを求めるのではないと実感する出来事があった。現在の3年生が新しい取材の企画を立て始めているいま、「オンラインではなく対面でのインタビューをしたい」という声が一部の学生から出てきたのだ。美術関係の記事を書こうとしている学生は美術ギャラリーで、そして子どもの福祉に関わる記事を書く予定の学生は関連施設で、取材相手に会いたいと考えているようなのだ。直接会うことでしか得られない「何か」を求めて、コロナ後の時代に向かおうとしている彼らを見守っていく。

 (近畿大学総合社会学部教授)



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