吉武英行 五感の旅

女性の“ひとり旅”はダメ?

2020年2月24日
旅館も時代のニーズに合わせた変化も必要

 『一人で泊まれる旅館』と、訳のわからないキャッチコピーがテレビ、雑誌で目に付く。ふと考えると、そもそも旅館に2人以上でなければ泊まれないことの方が変ではないか。

 現在、ほとんどの旅館が用いる2食付きの宿泊料金システムでは、1部屋に一人では利益が少ないというのはわかる。世界中のホテルで、身元が確かであれば一人でも問題なく泊まれるのに、なぜ日本の旅館だけがダメなのか不思議だ。あまりにも旅館の一方的な論理ではないだろうか。旅行者にはそれぞれの事情があり、やむなく一人で旅する人もいる。こういう旅人に門を閉ざすのは、ちょっとひどいのではないか。もうそろそろ旅館も宿泊料も2食付きだけでなく、室料と食事代とに分けて(泊食分離)はどうだろうか?

 現在のように1部屋に多人数で宿泊しても、一人分の料金がさほど変わらないことに不信感を持っている人もいる。客室や料理の代金が明確になれば、一人の宿泊も問題はなくなる。それだけではなく、他の比較も容易になる。到着が夕食時間に間に合わなかったり、朝食時間の前にチェックアウトしなければならないなど、今までホテルしか選択の余地がなかった人も、旅館を選べるようになるだろう。もちろんセット料金や2食付き、朝食付きも残して。

 また、一人客を受け入れている旅館も、女性だと断られたり、一人の理由を根掘り葉掘り尋ねられたりと、多くの女性が不快な思いをしている。今後は“ひとり旅”もますます増える傾向にあるだろう。旅館も利益を確保できる方法がないだろうか。旅館は日本の伝統文化の一つ。独特のホスピタリティーは残しつつ、時代のニーズに合わせて変化し、今後もずっと残ってほしい。

 (ホテル・旅館プロデューサー)



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