吉武英行 五感の旅

和食回帰、ホテルにも新スタイルの和食を

2020年3月30日
ホテルにも手頃な価格とコスパ重視の和食が求められている

 街では、和風ダイニングバーが大流行している。和食ベースの料理と、焼酎、日本酒をメインとした飲み物が、手ごろな価格で楽しめる。モダンでちょっとおしゃれなインテリア。酔ってくだを巻くおじさんたちのいる居酒屋とは違い、女性同士でも安心して入れるのも人気の一因。生き残りをかけて他店との差別化を図ろうと、各店の進化にも目覚ましいものがある。

 “おしのび”“離れ”と銘打つ店では、テーブルごとに間仕切りがあったり、ボックス型になっていたりとプライベート感が充実。料理では、チーズやマヨネーズを組み合わせた創作コロッケなどのおふくろの味やヘルシー豆腐料理など。ドリンクメニューも焼酎、日本酒はもちろん、自家製の果実酒を提供する店もある。

 どこのホテルにも和食のレストランはあるが、ほとんどが伝統的な日本料理。ブランド店はさすがに味がいいと聞くが、気軽に入れる価格ではない。ホテル直営店は、筆者の知る限りではどこも味よりディスプレーを重視した料理である。外国人向けなのだろうか。初めて日本を訪れたイタリアの一流ホテルのメートル(メートル・ドテル給仕長)は、ホテルの和食より、家庭料理店の方を喜んだ。

 ホテル内和食店の価格を下げてほしいとは思わない。価格低下でグレードも下げては、ホテル自体のグレードも下がってしまうからだ。それより、コーヒーショップのメニューに、思わず試したくなるような新しいタイプの和風料理があったらうれしいと思う。イタリアン、フレンチも良いけれど、多くの日本人が年を重ねるごとに和食に回帰する。これらのユーザーを視野に入れると、ホテルでも和食系に力を入れる価値があるのでは。接待費ではなくポケットマネーだから、手頃な価格とコストパフォーマンスも重要なポイントだと思う。

 (ホテル、旅館プロデューサー)



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