吉武英行 五感の旅

再び熊野へ

2020年7月27日
昔ながらの手作業で守られている丸山千枚田

 新型コロナウイルス感染拡大の影響で、断旅すること3カ月余り。車を買い替えたことを言い訳に、小旅行を企て一路熊野へ。

 西名阪道を走り、関JTCから伊勢自動車を南下、勢和多気JTC紀勢自動車道で尾鷲へ向かう。途中、勢和多気で寄り道、超有名な「コケコッコー共和国」で昼食休憩。「焼き鳥」ではなく「とりやき」という。三重では串に刺した焼き鳥はお目にかかれない。焼き肉同様、網で焼くみそ味の「とりやき」が主流。おいしいのは当然だが、卵かけごはんを注文すると卵が8〜10個付いてくる。食べ放題でどうぞときた。

 笑顔の昼食後、田園風景の中を尾鷲まで気分よく走る。42号線に出て、真っ青で豪快な熊野の鬼が城から望む大海は爽快すぎてうれしい。名勝「花の窟屋」を経て311号線を右折、懐かしく感じる風伝峠を越え、数年ぶりの丸山千枚田に再会する。

 この棚田がいつ頃造成されたのかは不明だが、1601(慶長6)年にはすでに2240の田があったと記録されている。素晴らしい景観と農耕文化を後世に伝えたいと、なんと丸山地区住民全員による「丸山千枚田」保存会が結成されたという。

 1枚あたりの面積が約10坪と小さい田んぼばかりの千枚田は機械には頼らず、ほとんどが昔ながらの手作業で守られているとのこと。われわれトラベラーとして頭の下がる思いで、心から感謝をささげたい気持ちになる。

 今年はあの大熊野の花火も見ることができないが、海と山、里の空気があふれるこの街は自然だけで十分すぎるくらい魅力的だ。

 (ホテル・旅館プロデューサー)



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