吉武英行 五感の旅

生かすも殺すも心遣いと工夫次第

2020年8月10日
いい宿になるには工夫と心遣いが大切

 久しぶりに有馬の旅館に泊まる機会があった。有馬の旅館は総じて料金が高い。高いけれど、その分レベルも高いと常々思っている。少々値段が高くてもいいが、それなりのものでないと満足しないという首都圏のお客が中心だし、遠くからわざわざ来る人も多い。外国人も来る。そういうわけで、有馬ならどこでもそこそこのサービスと料理が楽しめると、たかをくくって、老舗ではあるがあまり有名ではない、こぢんまりとした宿に泊まった。

 室数は10室、部屋に温泉も引かれている。もちろん大浴場もある。概要を聞く限りではかなり期待できるではないか。1泊2万円の部屋で予約した。泊まった感想は、いま一歩の宿だ。静かな環境にあってとてもいい。しかし自慢の庭園は手入れがされておらず、散策路もあるようでないような。池もあるが整備しようという意識はあるが中途半端。料理も値段に見合ったものではなかった。

 部屋出しなのだが、驚いたのは最初から全部の料理が並んだこと。ごはんまで持ってきた。豪華定食だ。食べ終わったら「連絡をして」という一言もなく、いつまでもお膳がそのまま。

 朝食は朝8時に部屋に用意するということで、7時20分ころ朝風呂へ行こうとしたら、布団をあげに来て「朝食は7時45分に用意するから早く戻って下さいね」と言われた。そそくさと湯に入り、40分に部屋へ戻ると、なかなか朝食が来ない。来たのは8時ちょうど。感じはいい方なのだが、今一つ心遣いが足りない。

 環境も良い、温泉もすばらしい。でもそれを生かす工夫や心遣いがない。ここが人気旅館とそうでないところの差なんだろうとつくづく思った。そこに気づけばいい宿になるのに。もったいないことだ。

 (ホテル・旅館プロデューサー)



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