吉武英行 五感の旅

ホテルの空気に“純正日本”を 

2020年8月24日
ホテルの中に“日本”が必要

 ここ数年、海外ブランドホテルが話題と人気を独占している感がある。東のパークハイアット、西のリッツカールトン大阪。高層ビルの上層階を占める、小規模でゴージャスなホテルだ。海外ブランドといっても日本側の企業カラーが強いホテルもあるが、この2軒は直輸入タイプ。利用者は本物に近い直輸入タイプを好むように見受けられる。

 高級ホテルは数あるが、客室などどこも似たり寄ったりの感じがする。この2軒を知る人ならロビーや客室のイメージが浮かぶはず。パークハイアットの特長は、現代建築とインテリアに加えて、お客に対するきめ細かいホスピタリティー。リッツカールトンもカールトンスタイルのインテリアと、独自のマニュアルでスタッフの言葉まで徹底させたサービス。どちらもはっきりしたコンセプトで、双方とも宿泊料が高額にもかかわらず、客室稼働率が他のホテルを大きく上回る。

 それに比べて日本の純正ホテルはどうしたのか。外資系の個性に押されて、影が薄くなってしまった。原因は個性の乏しさと、むやみな西洋志向ではないか。何から何まで西洋風にすることが、インターナショナルホテルと勘違いしているのではないだろうか。

 例えばフランスでフレンチスタイルのホテルとアメリカンスタイルのホテルがあったら、外国人客はどちらを選ぶだろうか。バリ島のホテルの高人気は地元のテイストが織り込まれているからだ。

 筆者はホテルの中の“日本”の必要性を感じる。障子、ちょうちん、ぼんぼり、畳のディスプレーなど、日本の伝統素材をさまざまな形でホテルに反映させることが可能で、その一例は箱根の富士屋ホテルに見られる。ホテルが生き残るためのキーワードは「日本」ではないだろうか。

 (ホテル・旅館プロデューサー)



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