吉武英行 五感の旅

夏の定番、高原の旅

2020年9月7日
10年ぶりに訪れたカフェレストラン「Nadja」

 夏になると必ず訪れてみたい私の定番の旅がある。信州、軽井沢と浅間山、安曇野から眺める常念岳、伊豆半島の海、城ケ島等々。しかし、今年はコロナ禍の影響もあり、旅も自粛がち。近場ではあるが、岡山県北部の高原、蒜山(ひるぜん)と鳥取県の大山を訪ねた。中国道を西へ津山を過ぎ、落合ジャンクションから米子道へ。

 2〜3時間足らずの距離である。天孫降臨伝説の蒜山。この地に来ると必ずランチはジンギスカンと決めているのだが、今回は連れが羊肉は全くダメということもあり、10年ぶりに蒜山三山の麓の森にポツンとある山野草と雑木林をテーマにした蒜山倶楽部『nadja(ナジャ)』を訪ねた。女性的な稜線(りょうせん)が美しい蒜山三山に溶け込むようなシルエットの小粋なカフェレストランだ。10年前と同じ盛り付けと変わらぬ味の名物サイコロステーキに舌鼓を打つ。

 ここ蒜山は近場では最高の上質な避暑地でもある。のどかなジャージー牛の放牧、ログハウス、湧水、白樺(シラカバ)の高原風景を楽しみ、大山に向けて高原ドライブを堪能する。途中、波乗りロードを体験し、子ども心に戻りながら車を走らせる。

 そしていきなり開けてくる鍵掛峠からの南壁大山のダイナミックな眺望に度肝を抜かれる圧巻の迫力である。別名「伯耆富士」と呼ばれるのは北西側から見た優しい姿がゆえんであろう。岡山県北の「蒜山」と県境の鳥取県に属す「大山」は一対の観光ルートではあるが、観光面での他県との連携が気になるところでもある。

 大山の麓の草原でくつろぎ、遠くに広がる日本海の海岸線が旅情を誘う。日帰りの小さな旅であったが、コロナ禍の中の清涼剤であったことは間違いない。近い将来もう一度訪ねてみたい場所だ。

(ホテル・旅館プロデューサー)


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