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ホテル・旅館にはそれぞれの“流儀”が必要 |
先日、東京で美作の温泉旅館の女将(おかみ)と久しぶりに顔を合わせ歓談した。キャンペーンで来て会うことが多い。その時はたいていが和服(女将には義務付けられている)。いかにも女将という感じなのだが、話してみると「いつもは着物ではなくコットンパンツにポロシャツ、そしてエプロン掛け」だそうだ。
一度、女将の旅館を訪ねたことがある。かいがいしくお客さまの前に立っているラフな姿がとても新鮮に映る。女将は着物でしゃなりしゃなりというイメージがあふれかえっているが、これも悪くない。
ここの夕食はダイニングホール。オープンキッチンのデシャップ(料理搬出口)があって、女将はそこが定位置。お客さまをテーブルに案内すると、またすぐそこに戻りキッチンとのコミュニケーションに徹する。手には各テーブルのコース料理がどこまで進行しているかのチェック表が握られている。それで適宜、厨房(ちゅうぼう)に指示を出し続ける。
その合間に食器も下げるし、なじみ客と会話も楽しむ。その動きがとてもスポーティーで見ていて心地いい。これじゃ着物より機能的だと大納得。「かまど」を守るのは女性というのが日本の伝統だと思うが、この女将のかまどキーパーぶりがとても新鮮な女将さん像に見えた。
とにかくキッチンとホールの呼吸が合っている。正直、旅館のダイニングでそういうライブ感を味わう機会は少ない。とても良い体験であった。こんなこと言うと女将に叱(しか)られるかもしれないが、彼女を見ていると旅館の女将というより、若くて気の利く「おかあさん」という感じ。この言葉が持つ温かいホスピタリティーの響きも大事にしていきたいと思う。ホテル・旅館に求められているのは、経営者や女将の“流儀”ではないだろうか。
(ホテル・旅館プロデューサー)
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