吉武英行 五感の旅

奈良・談山神社

2021年4月5日
初めて訪れた談山神社

 奈良に来ると心が落ち着く。大和路は心を優しくしてくれる空気があるように感じる。

 桜井市はまさに歴史の宝庫である。日本最古の神社と言われる大神(おおみわ)神社、明日香の石舞台、邪馬台国説の箸墓(はしはか)古墳等々、いにしえのロマンが漂う場所である。今回、初めて「談山神社」を訪ねてみた。藤原鎌足を祭る有名な社である。

 桜井市から15〜20分の距離。飛鳥の東方にそびえる多武峰(とうのみね)の山中に鎮座する。筆者の浅いうんちくで申し訳ないが、当時、蘇我蝦夷と入鹿親子の勢力は強く、国の政治をほしいままにしていたという。国家の正しい在り方を模索していた中臣鎌子(後の藤原鎌足)は、当時飛鳥寺での蹴鞠(けまり)会で聡明(そうめい)な皇太子とあがめられていた中大兄皇子(後の天智天皇)とまみえることができ、その後2人は多武峰の山中に登り、「大化の改新」の談合を行ったという。後にこの山を「談(かたら)い山」「談所の森」と呼び、談山神社の社号の起こりとなったそうだ。

 日本国が世界に誇る国家となるため、生涯を国政に尽くした鎌足。後に鎌足公が重病に陥り、それを知った天智天皇が鎌足公に大織冠を授けて藤原の姓を与えられた。藤原の姓はここに始まったという。

 ここ談山神社からは、多武峰の峠を越えればすぐに明日香の「石舞台」へ、桜井市方面へ戻れば「箸墓古墳」「大神神社」にも簡単に行ける。これだけの有名な名刹(めいさつ)が寄り添うように集合しているのも奈良大和路の魅力である。古代、中世の日本の文化がここ大和に集中している。高台から眺める大和三山。いにしえに思いがはせるようだ。まだまだ奥深い大和路に興味は尽きない。

 (ホテル・旅館プロデューサー)



サイト内検索