吉武英行 五感の旅

お客の独り言

2021年7月18日
一言説明があれば、さらに料理がおいしく…

 旅館に宿泊して何が楽しみといって、食事(料理)ほど楽しみなものはない。今晩はおいしい料理が…と思って夕食を待つのは至福の時である。先日、某有名旅館に宿泊した。

 料理が評判の宿でマスコミにも何度も登場している。だからということではないが、1泊2食2万5千円という価格だったし、かなり期待した。古民家を移築して創ったという宿はさすがに重みがあり、独特の居心地の良さがあった。温泉も良かった。次は食事だ。

 その日の夕食は品数も味もまずまずであった。特にイワナの塩焼きは本当にうまかった。

 夕食の前に廊下でおじさんが炭火でイワナを焼いていたのを目にしていた。あのイワナだろう。「だろう」というのは、仲居さんがただ料理を持ってくるだけで、説明してくれなかったから推測である。「あそこで今焼いてきたんですよ」と一言説明してくれれば、あのイワナは2倍、3倍おいしかったと思う。山菜の天ぷらも出たが、やはり説明はなし。フキノトウ、コゴミは分かるが、中にはよくわからないものもある。

 レストランでは自分の食べたいものを注文するから、目の前に並んだものは何かがわかる。旅館の料理はおまかせである。おまかせなんだから説明してくれるのが当たり前だと思う。お客は「これ地元の〇〇で、おいしいですよ」という一言が聞きたいものなのだ。案外、民宿のような旅館の方が丁寧に説明してくれることが多い。ちょっと時間を割いて説明してくれると、「親切だなあ」と思えるし、料理を大事にしているように感じる。

 せっかく料理人が一生懸命作った料理だから、うまくプレゼンテーションするのが仲居さんの腕ではないか。

 (ホテル・旅館プロデューサー)



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