吉武英行 五感の旅

ホテルスタッフの言葉

2021年11月29日
スタッフの言葉遣いはホテルのクオリティーにつながる

 大阪市内のホテル。ロビーで待ち合わせの相手を待っていた時のこと。背後からの若い女性の声が耳に入ってきた。会話の断片で「うん、もうやった」「それ、終わった…」と。

 思わず振り返ると、それはベルデスクのカウンターの中で、館内電話で話す若い女性スタッフの声だ。私用の電話という感じはなく他のスタッフとの業務連絡のようだ。宿泊客のチェックアウトが相次ぐ時間だったので、荷物や車の手配の連絡をしていたのだろう。しかし、友達同士のような会話はホテルの雰囲気にそぐわないもので、違和感を覚えた。

 このスタッフは、お客に対する言葉は敬語を使っていたが、親しい仲間との連絡では、いつも普段使いの言葉を使っているようだ。スタッフ間で「…ございます」「…致します」レベルの敬語を使ってほしいとは言わないが、パブリックスペースでの業務連絡は「…です」「…しました」程度の言葉を使うべきだ。

 ホテルでの敬語教育では、最初に尊敬語・謙譲語・丁寧語の区別をしっかり教えることが肝心と私は思う。例えば「する」という単語の場合、「なさいます」は尊敬語、「致します」は謙譲語、「します」は丁寧語というように。

 そして、お客側と自分側の区別を教えること。これは対象の相手が川の向こう岸と自分側の岸のどちらかにいるかを考えれば、わかりやすいと思う。また、職場では厨房(ちゅうぼう)の中などではともかく、日ごろからスタッフ間でも丁寧語を使う習慣をつけておけば、その会話がお客の耳に入っても問題ない。

 スタッフのクオリティーは、そのままホテルのクオリティーにつながる。スタッフ全員がきちんとした敬語を遣えれば、ホテルの評価も高まるにちがいない。

 (ホテル・旅館プロデューサー)



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