吉武英行 五感の旅

熊野・鬼ケ城

2022年2月7日
人を圧倒する自然の造形はもはや芸術

 大好きな熊野、今回は鬼ケ城を紹介しよう。

 紀勢自動車道から熊野尾鷲道路に入り、終点となる熊野大泊インターを降りると鬼ケ城の看板が見える。伊勢神宮から1時間半、大阪から3時間余りの距離だ。

 伊勢から熊野三山へと向かう伊勢路は、いくつもの峠を越える厳しい山道だが、鬼ケ城と隣接する熊野古道「松本峠」を超えると約25キロ続く七里御浜のなだらかな道に変わる。荒々しい海岸線の終わりに位置する鬼ケ城は、その険しさを象徴するかのように人を圧倒する自然の造形となっている。2004年7月にユネスコの世界遺産「紀伊山地の霊場と参詣道」の一つとして登場、1935(昭和10)年に国の天然記念物に指定。日本百景に選定された。

 ほとんどの人が千畳敷を訪れて帰って行くが、鬼ケ城の魅力は周遊してこそだ。もと来た道を戻ったとしても、時間の移り変わりで全く違って見える景観を楽しめる。類いまれな景観、潮風、熊野の光を堪能してほしい。隆起と風化の浸食によって生じた自然の芸術を。

 熊野灘に面して延々1キロ続く天然記念物。山頂には戦国時代の城跡があり、熊野古道(松本峠)と連結するコースも整備されている。鬼の見晴台といわれる展望台からの熊野灘の景観は圧巻。

 まずは無料駐車場に車を止めて、鬼ケ城センターの前を通って、全長1・2キロにわたる遊歩道の起点になる東口へ向かう。主要な景観スポットは「猿戻」「鬼の風呂桶(おけ)」「鬼の見張台」などユニークな名勝にも注目。有数の景勝地でありながら、入場料、拝観料が一切かからないというのがうれしい。

 どうぞ一度、ドライブの足を伸ばしてみては。

 (ホテル・旅館プロデューサー)



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