吉武英行 五感の旅

ホテルにも地域文化のテイストを

2022年3月7日
地域文化の薫りを感じられるホテルや旅館が魅力的

 最近、日本人の目が国内旅行に向いている。原因はともかく、日本のホテル、旅館業界にとってビジネスチャンス。この機会に各地の魅力をアピールし、将来につなげてほしい。

 日本のホテル、それも地方のホテルの多くが、ちょっと魅力に乏しくないか?と思う。せっかく行った土地のテイストが全く感じられず、“都会風”を目指した個性のないホテルにがっかりさせられる。金沢や倉敷、飛騨高山など、独特な街並みを持つ土地では街並みの一部となれるような建物。田舎なら、かやぶき屋根のテイストをどこかに取り込んではどうだろう。

 建物全体が無理でもロビー棟だけ和風にするとか、玄関に地元スタイルの屋根をつけるだけでも、印象は変わってくる。想像は膨らむ。ロビーの真ん中には大きないろりを配し、周囲は民芸調のカウンターとテーブル。お茶やコーヒーを民芸調の食器で出したり、ラウンジにするなどどうだろう? こんな場所があれば、筆者ならチェックインしたとたんに居座ってしまう。

 また、カーテンの代わりに障子やふすまを用いたり、ちょうちん風のライトスタンドにしたりと、モチーフとなる素材は山とあるはず。料飲関係では、ホテルの中に地元料理や地酒が手軽に楽しめる居酒屋や、土地によってはそばやうどんのお店を作ってはどうだろう。町でおいしい店を探す時間のない人も、地元の味に触れられる。

 “田舎風”は今、魅力的な言葉で商品価値を高めるもののひとつ。“都会的”なものをと望む地元の考え方ではなく、よそから訪れるお客の気持ちも視野に入れ、地域文化の薫りを取り入れた、魅力的なホテルが増えてほしいものである。ホテル・旅館の皆さま、ぜひご一考を。

 (ホテル・旅館プロデューサー)



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