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世界一の“普通”のサービスを誇るタイのオリエンタルホテル |
ロビーに入ると、ホッとするような空間、吹き抜けの重厚かつ瀟洒(しょうしゃ)なスペース。ドレスアップした紳士淑女が、盲目のピアニストが奏でるスタンダードジャズを背景におしゃべりに興じる。エントランス通路にはショッピングアーケード。高級ブランドショップが並ぶ。
案内されたとう製の椅子に身を沈め、アフタヌーンティーを注文。パンケーキのようにやわらかいスコーンに感激。特性ジャムのおいしさ、フィンガーサンドイッチも。それにもまして従業員のサービスが素晴らしい。常に目を客席から離さず、紅茶やコーヒーのポットはテーブルに置いてあるが、ただの一度たりともお客に注がせることはない。
清楚(せいそ)でスタイルもよく、笑顔を絶やさない彼女たちは、入り口にお客が来ると、待たせることなくテーブルに案内する。客席で注文しようとする客のしぐさを即座に見抜きオーダーを取る。読書をしているご婦人のテーブルは遠くから観察し、時折温かい紅茶のポットと差し替える。
これは世界一のサービスを誇り、ホテルランキング長年1位を譲ることのなかったタイ、オリエンタルホテルのサービスの一部である。「特別」のサービスではなく「普通」のサービスだったが、他と違う心地よさはホスピタリティーの違いだと感じる。
日本のホテルは、マネジメントの中でホスピタリティーに関する考え方が大きく違う気がする。タイのオリエンタルでは従業員一人一人にホスピタリティーマインドが植え込まれており、従業員の魅力が存在していた。
日本のホテルは「経営の合理化」と「人材リストラ」を同義語のように扱ってきた。財務を重視するあまり、ホスピタリティーの重要性をオペレーションから外してしまったのだ。日本のホテルでもホスピタリティーは十分に発揮できると思うのだが。
(ホテル・旅館プロデューサー)
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