吉武英行 五感の旅

身延線の小さな美しい車窓

2022年4月4日
身延線の車窓からの眺めは、穴場の旅を演出してくれる

 富士山と富士川を堪能できる路線「身延線」の小さな旅を紹介しよう。静岡県富士市の富士駅と甲府市の甲府駅を結ぶ路線で総距離88・4キロメートル、駅数39、首都圏から比較的近いローカル線だ。

 富士駅を出た列車は右に大きくカーブを描き、右側に見えていた富士山は柚木駅で正面、さらに右へカーブし一度左手に見える。身延線の中で、この区間が世界遺産の富士山を間近に見ることができる絶景区間。そして沼久保駅に到着すると富士山とはお別れだ。

 2017年12月に静岡県富士山世界遺産センターがオープンした。センターの赤鳥居からの富士山の眺めは圧巻。近くに富士山本宮浅間神社がある。富士宮駅から西富士宮駅、この区間は新都市部で高架になって富士山はよく見える。沼久保駅を過ぎると進行方向に日本三大急流のひとつ富士川がしばらく同行してくれる。

 芝川駅から身延駅までは富士川以外特筆する景色はない。身延駅を出た列車は甲斐岩間までは山間部、甲斐岩間から甲府までは甲府盆地の中の市街地を走る。多少平凡な景色。富士から乗車した場合は進行方向左側座席が良い。実際、富士山を眺められる時間は右側の方が長いが、最大の見どころの西富士宮から沼久保間、富士山は左手、富士川もずっと左側だ。

 身延線の主な運行形態は、特急列車は静岡−甲府間1日7往復、普通列車は富士−甲府間1日12往復。この他、普通列車は富士−西富士宮間で日中20分〜30分間隔、甲府−鰍沢口間で日中20分〜40分間隔で運行。コロナ禍の中の一種の逃避かもしれないが、命の洗濯。古い言葉がピッタリくる穴場の旅である。

 (ホテル・旅館プロデューサー)



サイト内検索