吉武英行 五感の旅

大和路、奈良薬師寺

2022年4月18日
歴史の謎を知れば薬師寺も違う景色に見えてくる

 近場の旅であっても大和路はいつも感動を与えてくれる大好きな場所だ。神戸から近鉄奈良線で1時間半、大阪難波から30分で近鉄橿原線西ノ京駅へ。短時間の移動で別世界に誘われる。奈良は日本の原風景そのままを感じさせてくれる。

 今回は「薬師寺」を訪ねてみた。薬師寺は680年、天武天皇が皇后(持統天皇)の病気回復を願って藤原京に建てられ、天武天皇の死後、遺志を継いで持統天皇が697年に完成させたという。718年の奈良時代初期に平城京遷都にともない今の地に移された。

 当時は南大門を入ると左右に東塔、西塔がそびえ、正面に金堂、その後ろに講堂があり、それらを回廊で囲んだ薬師寺式伽藍(がらん)配置をもつ大寺であった。その後、火災や兵火などでほとんどの堂塔が消失。今では東塔のみが奈良時代の建物だそうだ。

 しかし、伽藍の復興が目ざましく、1976(昭和51)年には金堂、81年には西塔など次々と建てられ、奈良時代当時の姿に戻りつつあるという。周りに高い建物がないので、新旧二つの塔と金堂が、西ノ京の空に高々とそびえ、華やかな白鳳様式を今に見ることができる。

 面白い話を聞いたが、高さが違う東塔と西塔。81年に完成した薬師寺西塔は、天平期の東塔を細かく調査し造られた三重塔である。西塔の方が140センチも高く作られた。なぜかと言えば、新しい西塔はこれから時がたつにつれ木が縮み、風に吹かれて少しずつ低くなり、200年後に東塔と同じ高さになると計算されて建てたとのこと。これにはびっくり仰天。

 こういった小さな話を集めてみると、さらに興味がわいてきて楽しくて仕方がない。もっともっと大和路を歩いて歴史の謎を追いかけてみたい衝動を覚えた小さな旅。皆さまもどうか旅を楽しいんでいただきたいものである。

 (ホテル・旅館プロデューサー)



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